7月から鎌倉税務署長に就任した 佐藤 謙一さん 横浜市青葉区在住 59歳
「税務署の仕事伝える役に」
○…7月に鎌倉税務署長に就任した。鎌倉へ赴任したのはこれで2回目。1990年に確定申告の時期だけ従事したことがあったそうだ。「当時から地域住民の税務行政への理解が高いと感じていた。地元を愛する人が多いからかな」と笑顔を見せる。自身の責務を「税務署の仕事を、より正しく理解してもらえるように努めること」とする。物腰が柔らかく穏やかな印象だが、税の話になると身振り手振りを交えながら熱っぽく語る。
○…山形県出身。大学進学を機に上京し、経営学を学んだ。入学後に会計士に興味を持ったことが国税局への就職のきっかけだった。「会計士の勉強を進めるうちに、これまでの知識を活かせる国税の試験もせっかくだから受けてみようと独学で勉強し始めた」と振り返る。大学が設けた専門的な講座にも通い、学友と切磋琢磨し合った。
○…これまでのキャリアの大半は東京国税局の訟務官室で過ごした。国税の課税処分等について、税務署長の代理人として訟務事務に従事。「日本の税制度の根幹をなす申告納税制度に関わる仕事。納税者と課税庁の間で税金について争いが生じたときに、課税庁側の主張を裁判官に理解してもらう仕事だった」。資料の読み込みや書面作成のほか、裁判所への出廷など貴重な時間を過ごしたという。その経験を活かし2006年、税務大学校研究部の教授に就任。実務経験から出た疑問を2つの論文にまとめた。
○…息抜きは「週末に日帰りで妻と行く小旅行」と顔をほころばせる。行ったことのない街を2人で選び、散策するそうだ。子ども2人はすでに独立、毎週末テレビ電話で会話するという1歳半の孫娘の話になると、自然と目じりが下がる。近年、税を取り巻く環境はどんどん変わっているという。「勉強し続けていかなくては」と話す様子からは、自らの仕事への自負と責任感の強さを感じた。