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鎌倉 人物風土記

公開日:2014.12.05

仙台フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターを務める
神谷 未穂さん
鎌倉市出身 41歳

経験を力に新たな境地へ



 ○…人気と実力を兼ね備えたバイオリニストとして、コンマスを務める仙台フィルのほか、ソリストとして、また同じく鎌倉出身で従姉妹の礒絵里子さんとのデュオなど、国内外で多彩な演奏活動を続けている。子どもを対象としたアウトリーチ活動も積極的に行っており「何百年と言う時を超えて受け継がれる音楽の素晴らしさを、クラシックという『壁』を作る前に知ってほしい」と微笑む。



 ○…9歳年上の姉の影響でバイオリンを始めたのは6歳の時。桐朋学園大学を経てドイツ、フランスに留学し、永くフランスを拠点に日仏を往復しながら演奏を続けた。何度も共演していた仙台フィルからの要請を受け、2010年9月にコンサートマスターに就任。翌年3月には仙台に居を構えた。その1週間後、「3・11」を迎えることになる。



 ○…予定されていたコンサートはほとんど中止に。自身も北陸経由のバスを乗り継ぎ、震災から5日後、鎌倉の実家にたどり着いた。一息つくと自然とバイオリンを手に取っていた。「弾き始めると、こんなことに負けてたまるか、と身体の内側から力が湧いてくるのを感じた」という。仙台に戻った後は、商店街や避難所などに赴き即席のコンサートを開いた。どの場所でも演奏を始めるとすぐに子どもたちが集まった。その笑顔を見て、大人たちも明るい表情に。目の前に広がる光景に「音楽の力を再確認しました」と噛みしめるように話す。



 ○…「最近、演奏が男性的と言われることが多い。やっぱり母親になったからかな」といたずらっぽい表情を見せる。フランス人チェリストの夫と2001年に結婚。13年に長男を出産した。その3カ月後にはステージに復帰。「色々な人の力も借りながら音楽と子育ての両立に挑戦しています。大変だけれど、子どもの顔を見ると疲れも吹き飛びますね」。母となり手にした強さ、優しさを力に新たな境地に挑み続ける。

 

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