「かながわ地球環境賞」を受賞した 五味 一雄さん 今泉台在住 85歳
「省エネ成功は家族の和で」
○…環境保全に貢献のあった個人や団体、企業を県などが表彰する「かながわ地球環境賞」をこのほど受賞した。評価されたのは、省エネの実践とその啓発活動。「私一人の力ではなく、様々な人の協力で続けてきたことなので」と照れくさそうな笑みを浮かべる。
○…山梨県出身。大学で電子工学を学んだ後、理化学研究所に入所し、抗生物質の生産管理などに携わった。同研究所が発足させた製薬会社では要職を務め、慌ただしい日々を送った。2人の息子の成長に合わせて、今泉台に自宅を構えたのは1974年。定年退職後の99年に、鎌倉市の環境モニターに応募したことが転機となった。そこで省エネ手法の学習や実践、普及を目指すNPO団体「湘南・省エネネットワーキング」の前島仁代表と出会い、同会の会員に。これをきっかけに家庭でも様々な省エネを実践するようになった。
○…特に力を入れたのが電力の記録。「日々の使用量が分かると、自然と節電を心がけるようになる」が理由だったが、成果の実感と元来の理系気質が合い熱中した。ところが家族には不評。「ことあるごとに電気を消すように言ったら、妻や子どもから『みみっちい』と文句が出ました」と苦笑い。こうした経験から、省エネ成功の秘訣は「家族の和」と訴える。「みんなで取り組もうという意思統一がなければ長続きしない。何より一つの部屋で家族が団らんしていれば、冷暖房や照明費も削減できるじゃないですか」と笑う。
○…啓発活動にも力を入れてきた。町内会報に3年にわたってコラムを連載したほか、2002年から13年までに、小・中学校などのべ28校2500人以上に出前授業を行った。「自分たちの生活が地球にどのような影響を及ぼしているのか。伝えた時の子どもたちの素直な反応がうれしかった。またチャンスがあれば子どもたちの前に立ちたい」。省エネの伝道師としての意欲は、まだまだ衰えない。