元モロッコ大使で、日本モロッコ協会の会長を務める 広瀬 晴子さん 鎌倉山在住 70歳
「モロッコの魅力知って」
○…北アフリカ西部に位置するモロッコとの友好・親善を目指す「日本モロッコ協会」の会長を務める。3月26日には同国の素顔をテーマに、高徳院で講演する。「アフリカやイスラム圏というと紛争や貧困などのイメージが強いですが、モロッコは政情も安定して順調な経済発展を遂げている。こんな国があるのだと、鎌倉の皆さんにも知ってもらえれば」と微笑む。
○…幼い頃から「世界を見たい」という夢を抱いていたが、それを叶えたのは意外に遅い。すでに結婚もしていた33歳で米スタンフォード大に2年半留学した。この時「気持ち次第でやりたいことが実現できると感じた」ことが転機に。46歳でUNESCOの管理職ポストに応募し合格。夫や2人の息子とヨーロッパに渡った。以来、同機関や途上国の工業開発を支援するUNIDOで15年以上キャリアを積んだ。外務省から打診を受けてモロッコ大使に就いたのは、2006年末。10年2月まで約3年3カ月同職を務めた。
○…20年近く国際機関や外交の舞台で活躍したが「決して語学が得意だったわけではない」と笑う。「世界で一番話されている言葉は『ブロークンイングリッシュ』。言葉の正しさよりもまずは自分の主張があり、それを伝えたいという気持ちが大切」という。「異なる文化、背景を持つ人々が一つの仕事に取り組むのですから、とにかく議論を尽くして結論を出しました。その分、プロジェクトが成功した時の達成感は大きかったですね」と振り返る。
○…「雨が降ると電話が不通になったり、色々なアクシデントはありましたが、気候が良くご飯も美味しい。何より人情が厚い」と惚れ込むモロッコ。今年は日本との国交樹立60年の節目でもあり、2年前に会長となった日本モロッコ協会でも、様々なイベントを予定する。「モロッコとの関係や友人は一生もの。両国の関係をより深化させたい」と意気込んでいる。