市内初の民間学童保育施設「晴れ間」の代表を務める 石井 宏和さん 由比ガ浜在住 36歳
「生きる力育みたい」
○…市内で初めて認可を受けた民間学童保育施設「晴れ間」を今日、オープンさせた。大町の高台に位置し海が見渡せるほか、敷地内には竹林があるなど、子どもたちが遊ぶには絶好のロケーションだ。「遊びの中から生まれる学びを大切にしたい。当面の目標は子どもたちに『まだ帰りたくない』と言わせること」と笑顔で意気込みを語る。
○…横浜市出身。両親が商売をしていたこともあり、地域の中で育った実感が強いという。「近所の人がいつも気にかけてくれて、家で夕飯を食べさせてもらうこともよくあった。そうした環境の中で学んだ人との接し方や社会での振る舞いが、後の人生で役立っている」と振り返る。19歳の時にバーで働きはじめたことが転機となり、飲食業にのめり込んだ。26歳で独立。横浜で店を構えた後、逗子に「ENISHI〜縁〜」をオープンし、地元の評判店に育て上げた。鎌倉に来たのは3年前。市内由比ガ浜で創作和食料理店「TUMUGI」を経営する。
○…今回のオープンのきっかけとなったのは、子育て世代のスタッフや友人たちが仕事と育児の両立に苦しむ姿を見ていたこと。「親や子どもはもちろん社会にとっても、もったいないこと。学校や家庭だけでない居場所であるためにも、多様なニーズに応えられる施設を作ろうと思った」と振り返る。もともとやろうと思ったら、最後までやらないと気が済まない性格。「最高の場所」と胸を張る現在の物件に出会ったことも背中を押した。
○…飲食業と学童保育の共通点について「酔っ払いと子どもは嘘をつかないことかな」とおどけるが、どちらもコミュニケーション抜きでは成立しない「誰かのための居場所」だ。「子どもたちは親の見ていないところで成長している面が絶対ある。テストの点数といった目先のものだけでなく、生きる力を育むことができれば」とまっすぐな目で話した。