25日に「みなとまつり」を開催する、腰越漁業協同組合の組合長 鈴木 猛さん 腰越在住 77歳
「漁業の魅力多くの人に」
○…毎年、腰越漁港が大勢の市民でにぎわう「みなとまつり」が9月25日に開催される。人気の鮮魚販売はもちろん、地域の子どもたちが出演するステージ、港と江の島をつなぐ、クルーズ船の運行なども予定している。主催する腰越漁業協同組合の組合長として「年々参加者が増えているように感じる。漁港や漁協について少しでも知ってもらうきっかけになれば」と意気込みを語る。
○…腰越で代々続く漁師の家に生まれた。「子どもの頃から手伝っていたから、ごく自然に」と中学卒業と同時に海に出た。当時の腰越は豊かな漁場で、はえ縄漁や一本釣りでサバ、アジ、カツオなどを獲った。「漁は大変なことも多いけれど、辞めたいと思ったことはないよ」と笑いながら振り返る。30年近く組合長を務めた池田利男さんからバトンを受け、組合長に就いたのは今年2月。「まだまだ手さぐりだけれど、自分なりに頑張っていきたい」と噛みしめるように話す。
○…腰越漁港では一昨年の夏に改修工事が終わり、今後は漁業振興だけでなく、地域活性化の拠点としての期待も高まる。そんな取り組みの一つが「朝どれフライ」の販売。獲れたての魚をその場でさばいて揚げるため、地元の人はもちろん観光客にも好評だ。「利益はほとんどないけれど」と笑いながら「市民の皆さんの協力で新しい港が完成した。その恩返しができれば」と笑顔を見せる。
○…最盛期には100人以上の漁師が所属していたこともある同組合だが、現在は40人ほど。「漁獲量の減少もあるけれど、社会そのものが変わり、漁師という仕事に魅力がなくなっている」と危機感を募らせる。今後は生産から加工、販売までを一手に行う「6次産業化」などにも、積極的に取り組みたい考えだ。「意欲のある若い人が参入してきた時に、安定して仕事が続けられる土台を作りたい」と地元漁業の未来にも目を向けている。