鎌倉版 掲載号:2018年1月26日号
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『鎌倉近代建築の歴史散歩』を出版した 吉田 鋼市さん 横浜市在住 70歳

「近代建築の魅力知って」

 ○…「三大洋館」とも言われる鎌倉文学館、旧華頂宮邸、古我邸をはじめ、市内に点在する50件の近代建築の歴史や特徴をまとめた『鎌倉近代建築の歴史散歩』を、このほど出版した。「ごまかしや手抜きは100年もたない。古い建築物が教えてくれる『嘘のない真実』との出会いをこの本を通じて楽しんでもらえたら」と笑顔を見せる。

 ○…兵庫県出身。美術表現に興味を持ち、上京して横浜国立大学建築学科で西洋建築史を専攻した。「当時は学生運動の最盛期。私も一時はボイコットに参加したものの、勉強したいという欲求に勝てずに講義に参加していたら、同級生から『裏切者』扱いされましたよ」と笑って振り返る。その後は京都大学やフランス留学を経て、母校である横浜国大で教鞭をとるようになった。

 ○…1982年、神奈川県から依頼されたのが、県内の近代洋風建造物の調査。他の市町村では、行政の担当者にベースとなる資料作成を任せていたが、件数が突出していた鎌倉は自身で調査することにした。さらに90年には鎌倉市からも景観重要建築物の調査を依頼され、最後の報告書が完成する2013年まで、30年以上にわたって鎌倉に通いつめる日々を過ごした。数ある鎌倉の近代建築のなかでも「お気に入り」は御成小講堂という。「施工には当時の実力ある大工が多く携わり行政が総力を挙げて作ったものと分かる。時代背景や当時の生活が垣間見えると、とてもわくわくするね」と朗らかに語る。

 ○…5年前に名誉教授となり、教壇は下りたが探究心は尽きない。学生結婚して以来、研究一筋の生活を支える妻からは「たまには鎌倉観光に連れていって」と言われるそうだが「まだまだ研究の途中。観光という気持ちになれないんだよなあ」と苦笑する。「いくつになっても新しいことを知る喜びがある。だから勉強はやめられない」と目尻にしわをよせた。

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