材木座海水浴場で監視長を務めるライフセーバー 北條 詩織さん 横浜市在住 22歳
仲間と守る海辺の安全
○…潮風に髪をたなびかせ、きょうも浜辺に眼差しを向ける。屈指の観光地・鎌倉の海岸に集う人々の事故を未然に防ぐため、1989年の発足以後、約30年にわたって市内3カ所の海水浴場の安全を守り続けている団体「鎌倉ライフガード」に所属する。現在活動しているライフセーバー約100人の中から、今夏、現場責任者として材木座海水浴場の監視長に初めて抜擢された。「不安もありますが身の引き締まる思い。シーズン中の2カ月間、誰もが安全に過ごせるよう努めたい」
○…福島県郡山市で生まれ育つ。兄の影響で3歳で水泳を始めると、めきめきとその才能が開花。小学4年で全国大会に初出場。「小6では平泳ぎで、初めて全国大会の決勝に進めた。7位でしたが、自己最高位を獲れたのが本当に嬉しかった」。一方、中学、高校ではタイムが伸び悩んだ。「練習がとても辛く感じた。高校卒業後は何か新しいことをやりたいと思った」
○…進学した神奈川県内の大学で、たまたまライフセービング部の勧誘を受ける。健康的な小麦色の肌、いつも生き生きと話す先輩たちの姿を見て「とてもカッコ良くて、私もこういう大学生活を送りたい」と強く惹かれた。7年前に東日本大震災で被災し、津波を心配する親には反対されたが、気持ちは揺るがなかった。入部後、先輩の誘いもあり「鎌倉ライフガード」にも所属。以後毎夏、市内の海辺で活動を続けている。
○…ライフセービングの大会に向けた訓練もあり、冬でも海に入って救助の練習。それでも頑張れるのは、信頼で結ばれた仲間たちがいるから。「社会人になっても、できる限りライフセーバーを続けたい」。浜辺の安全と仲間との絆。どちらも掛け替えのない、大切な財産だ。