2月10日に深沢学習センターで「臨床美術」の体験教室を開催する臨床美術士 高木 啓多さん 浄明寺在住 46歳
表現する事は生きる事
○…絵画などの制作活動を、認知症の症状改善や高齢者の脳機能訓練に活用する「臨床美術」。アートセラピーの一種として医療の現場で生まれたが、子どもの創作意欲を高め社会人のストレスケアにも効果的として注目を集めている。2月10日(日)には、子ども向けの体験教室を深沢学習センターで開催する。「上手い下手ではなく、好きなように表現し、創作する喜びを体験するきっかけになれば」
○…福岡県に生まれ育った。「幼い頃から図画工作が好きだった」と大学では工学を専攻。海外への憧れから22歳でドイツに渡り、現地の医療機器メーカーで3年間、麻酔機のマーケティングに奮闘した。帰国後も同社の日本支社に勤務。ただ「機械的に物を売り続ける仕事に疲れも感じていた。もっと人や、感性を大切にする仕事がしたかった」
○…そんなときに出合ったのが「臨床美術」の体験教室だった。「いきなり『水の味を絵に描いて』と言われて衝撃を受けた。正解はなく、どんな風に描くのも自由。楽しくて心が解放された感覚でした」。その後、約1年かけて日本臨床美術協会の「臨床美術士」資格を取得。2012年に独立し、現在は県内を中心に教室を開き、毎月延べ約350人が参加する。
○…自然の豊かさに惹かれ、鎌倉に移り住んで15年ほど。「材木座や七里ガ浜、由比ガ浜の海岸が好きでよく行く。浜辺を散歩していると、描きたいモチーフのアイデアが湧いてきて楽しい」という。「人には根源的に表現欲求がある。自由に自分を表現できることで生きる意欲が湧いてくるもの。今後は子ども向けの美術教室のほか、企業の研修などにも講師として参加し、仕事や子育てに疲れを感じている多くの親たちなどに向け、描く魅力を伝えられれば」