現代音楽の作曲家として国内外で活動する 久田 典子さん 笛田在住 57歳
音と向き合い世界に届ける
○…室内楽からオペラまで多彩なジャンルの作品を発表し、国内外で高い評価を受ける。昨年、CDがリリースされた『神話の国の心象風景』は、二十絃箏の奏者・吉村七重さん率いる演奏家グループのため各国の神話を題材に2015年から書き続けてきたシリーズ。『レコード芸術』誌でも特選盤に選出された。「吉村さんの依頼は『聞く人も弾く人も元気になる音楽』。図らずも今の時代に合うものになった気がします」
○…4歳でピアノを始めたが「演奏より頭に浮かんだメロディを楽譜に書き留める方が好きだった」。東京音大に進み、三枝成彰氏や湯浅譲二氏に師事。1991年、スイスで行われた音楽祭で入選を果たすと、この時、会場で自身の曲を演奏した同国の楽団から作品の委嘱があり、今も関係が続く。「彼らは常に一音一音を大切に演奏してくれる。本当に出会いに恵まれました」
○…作曲活動と並行し、母校・東京音大で教鞭をとる。今はリモートでの授業を余儀なくされており「動画編集などしたこともなかったのに、講義のビデオを作らなくてはいけなくなって大変です」。それでも後進の指導にかける思いは強い。「苦手だった分野で突然いい作品を書くようになったり、学生の成長を目の当たりにできることがなによりうれしい」
○…夫と愛犬くるみとの「3人暮らし」。船が好きで2年前には船舶免許も取得した。「幼いころ由比ガ浜で育って毎日海を見ていたからかな」と笑う。コロナ禍で活動は大きな制限を受けるが、自らと向き合い理想の響きを追求する歩みは変わらない。「表現という行為は私的なものですが、生み出した音楽から誰かが何かを感じてくれるのであれば、それはやはり大きな喜びですね」
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2020年12月18日号
2021年2月12日号