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長谷寺の「絆観音菩薩像」を制作した彫刻家 中村 恒克(つねよし)さん 横浜市在住 35歳

掲載号:2021年4月30日号

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古きを学び未来に伝える

 ○…長谷寺の本尊「十一面観世音菩薩」が今年、造立から1300年となるのを記念して、造立当時の姿を再現した「絆観音菩薩像」を手掛けた。「コロナ禍のなか、お像の前で少しでも心が落ち着く時間を持ってもらえれば」と話す。制作期間は約1年。仕上げは照明など安置される場所と同じ状況にして、表情を確認しながら細部を彫り上げ、目線も拝観者の位置に合わせた。

 ○…美術の道を志したのは高校1年の夏。母の勧めで美術予備校に通いだした。「もともと絵を描くことが好きで、よく家族や友だちをモデルにして喜ばれていた。その楽しさがよみがえってきて、作品を作りたいという思いが強くなった」

 ○…東京藝術大学彫刻科に進んだ当初は、西洋彫刻を作りたいと思っていたが、ある時、授業で仏像を見て「あっ、これも立体造形だ、と気づき、それまでの信仰の対象から作品という視点も加わった」という。卒業制作では国宝の仏像を模刻。「技術だけでなく、発想や大胆さ、繊細さといった制作当時の感覚に近づきたくて」と何度も京都や奈良に通った。

 ○…大学院を卒業後、「中村彫刻」を開業。「食べていけるか心配だったが、どうしても彫刻で独り立ちしたかった」と、学生時代に簿記も取得した。現在は大学の同級生だった妻と3歳の娘とともに暮らす。「娘はアトリエに遊びにくるけれど、美術が好きかどうかは分からない。好きなことをやってほしい」と目を細める。

 ○…彫刻と共に文化財保存修復にも力を入れる。修復作業を「いにしえの英知を学び、それを未来へ届ける仕事」という。今年2月に横浜高島屋で個展を開催。「3、4年後には新作の仏像もお披露目したい」と意欲的に語った。

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