私設スペース「衣笠駅徒歩1分図書館」を運営する 北川 幸子(ゆきこ)さん 大町在住
子どもの「芽」育みたい
○…横須賀市の昭和レトロなアパートで「衣笠駅徒歩1分図書館」、通称「キヌイチ」を運営する。ただの私設図書館ではなく、困っている子どもや若者の居場所、シェルターとしての役割も担う場所を目指し、一昨年末に開設。地域からの寄贈や協力のもと、自主夜間中学の会や他団体との協同事業など、活動の幅は広がり続けている。
○…横浜出身。社会や日常の中にある矛盾や課題にアイデアを提案して人と人を繋ぎ、自ら関わりながら物事を発展させる「プロジェクトマネージャー」として働く。鎌倉には仕事をきっかけに転居。地域活動にも参加するなど、8年でさまざまなつながりも生まれた。元々縁がなかった衣笠の地と自身を結び付けたのは、鎌倉の不動産店。開設の準備も地元の友人らが手伝ってくれた。「鎌倉の仲間なくして、今のキヌイチはない」と感謝を語る。
○…キヌイチを作ったきっかけは「虐待」を知り、学んだ中学時代からずっと心に残り続けたある思い。それはただの怒りや悲しみではなく、困っている子どもに手を差し伸べる社会的な機能が不足していることへの疑問だった。子どもたちを救う場所として思いついたのが、私設図書館という形。「子ども自身が困っている友だちをここに連れてくるような、みんなが自発的に助け支え合う場所になれば」
○…「何事にも囚われない子どもの自由な発想は大人にはまねできない」。この芽を虐待で潰してしまいたくないという思いもある。「ここでしか生まれなかったであろう出会いがいくつもあり、学ぶことは多い。自分が出来る限りはこの活動を続け、小さくてもたくさん、キヌイチのような場を鎌倉などにも増やすことができたら」と意欲を燃やす。