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鎌倉 人物風土記

公開日:2022.02.18

「北条双六絵巻」のイラストを手掛けた
横山 寛多さん
材木座在住 41歳

心静かに仕事に向かう

 ○…鎌倉歴史文化交流館に現在、展示されている長さ6・2mの『北条双六(すごろく)絵巻』にイラストを描いた。「長い作品なので、(絵が)重くならないように気を付けた。軽やかな感じに仕上がったのでは」と話す。

 ○…祖父は『プーサン』などで知られる風刺漫画家の横山泰三氏、大叔父は『フクちゃん』を描いた漫画家の横山隆一氏。鎌倉生まれ、鎌倉育ち。親戚や編集者、写真家、デザイナーらが集まる家で、大人に囲まれて育った。「だから、社会をちょっと斜めから見るような、こまっしゃくれた子どもだった」と笑う。「絵を描かねば」という使命感はなかったが、それでも「絵に携わる仕事をするのだろうな」と漠然と思っていた。

 ○…高校2年の時に、家を出て、祖父の家で祖父が亡くなる27歳まで一緒に暮らした。ユーモアがある人で、「祖父が80歳ごろ、庭に来た鳥を見ながら『きれいだね』と話しかけたら、『少しは見習え』と言われてね。高齢者扱いしたことにちょっと怒ったのかな。頭が切れ、やさしい人だった」と振り返る。商業的な視点での話も多く、「今、編集・出版社としっかり交渉できるのは、その時の指摘かも。身近過ぎて、教えられたことは思い出せないが、遠巻きにいろんなことを教えてくれたのかな」と祖父を思う。

 ○…美大卒業後、旅館でのアルバイトなどを続けていた。「板前さんの職人仕事を見るのが好きだった」という。30歳手前で、イラストを認められ、大手雑誌から依頼が来る。一気に20件ほどの仕事が入ってきた。その後、雑誌や絵本も手掛けた。作品の出来に充実感を感じるが、「本当は”隠居”みたいな生活がしたい。静かにのんびり暮らせれば」と願う。

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