鎌倉 人物風土記
公開日:2023.10.13
ボーカルとして「第10回ちぐさ賞」を受賞した
市川 莉子さん
市内在住 16歳
前を向いて
○…新人発掘を目的としたジャズコンテスト「第10回ちぐさ賞」(ジャズ喫茶ちぐさ・吉田衛記念館主催)にボーカルとして出場し、見事大賞に輝いた。9月30日の最終選考では、伸びやかな歌声で3曲を披露。コンテスト初挑戦での栄冠に驚きを隠せず、発表の瞬間は違う人だと思って拍手してしまったほどだ。「自信になりました。また歌をがんばっていきたい」と笑顔が広がった。
○…歌を始めたのは小学4年のとき。当時、母が横浜のバーバーバー音楽院までドラムを習いに通っていたが、思うように上達せず。「同じお金をかけるなら、私がボーカルを習った方が有効活用できる」と母から勧められたのがきっかけだ。空手や演劇もやっていたが、歌うことにのめりこみ、小学校の卒業文集には「歌手になりたい」と綴った。
○…植木小から玉縄中へ進む中、学校などでなかなか夢中になれるものがなかった。「人見知りで、引っ込み思案だった」と言うように、視線の方向は下を指すことが多くなっていた。そんなとき、救ってくれたのが歌だった。アリアナ・グランデを筆頭に好きなアーティストの曲に励まされ、人前で歌う機会が増えていくうちに視線は前を向くように。横浜桜陽高校に通う2年生は、「今は授業で発表したり、手を挙げたりしていますよ」と声が明るい。
○…ちぐさ賞当日も、マイクを握ると「今までで最も緊張しなかった」と変化を実感する16歳。同じボーカル教室に通う大人の女性に、歌を披露したことがある。するとその女性は感動し、泣いていた。「歌の力に驚いた。これまで人を感動させることがなかったので、うれしかった」。自身を救ってくれた歌を、さらに極めていく。
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