9月1日は「防災の日」。能登半島や宮崎県での地震をはじめ、台風、集中豪雨など、今年も各地で自然災害が頻発している。地域防災の担い手として、日本防災士機構が認定する資格「防災士」は、2011年の東日本大震災後に取得者が増加。震災前に約4万人だった登録者は、24年7月末時点で約29万人に。鎌倉でもその輪が広がっている。
防災士は、日本防災士機構が認定する民間資格。研修講座の修了と筆記試験に合格すると、防災士として登録される。
登録者の増加について、日本防災士機構は「東日本大震災を機に、行政・市民ともに防災への関心が高まっている」と分析する。間もなく30万人に到達するが、「実際に自宅や地域で活動する人を増やしていく必要がある」と話す。
4年で3→32人
鎌倉市内では、発災時の被災者支援を円滑かつ効率良く行うことを目的に、市内在住・在勤の防災士3人が「かまくら防災士ネット」を、20年に立ち上げた。
きっかけは、19年に襲来した台風15・19号。市内で土砂崩れや倒木、道路陥没などの被害が発生し、避難所に一時1300人が訪れるも、停電の影響や市民への情報共有が不十分で、災害対策に大きな課題を残した。
防災士ネットには、医師や保健師、助産師、社会福祉士、学生など、防災士の資格を持つ32人が所属。防災と減災に向けて、鎌倉市と災害ボランティアセンター、市民の3者をつなぐ役割を目指している。
主な活動は、月1回の定例会。山本謙治副代表(60)は、「多職種のメンバー間での情報共有と、防災士同士が日ごろから顔の見える関係性を築くことで、災害時に力を発揮できる準備をしている」と話す。さらに、自治町内会や小中学校、市民向けの防災講座も月5回程度企画し、市内全体の防災力アップに注力する。
同会で最年少の橋本玄さん(19)は高校1年で資格を取得し、防災普及学生団体「Genkai」も立ち上げて防災活動を展開している。「防災士になったことで、一緒に活動する仲間のつながりが増えた。地元にいることの多い中学生をはじめとした若い力も、防災には不可欠」と呼びかける。
レーベンスガルテン山崎自治会の橋本堅治会長(67)は、昨年8月に防災士ネットに加入。「自治会の防災活動を手探りでやっていたので、防災の知識を付けたかった。取得後は自分の知識で判断できるようになっている」と話す。今年6月には能登半島地震の被災地支援にも同行し、「勉強半ばだけど、地道な努力を積み重ねていきたい」と意気込む。
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