鎌倉 社会
公開日:2025.09.19
連載vol.2鎌倉の未来 紡ぐ視点
持続可能な医療体制を
鎌倉市医師会 山口 泰 会長
鎌倉市のこれからのまちづくりについて、経済、観光、医療、スポーツ、学生など、さまざまな分野の団体にインタビューする連載企画。第2回は、(公社)鎌倉市医師会の山口泰会長=写真=に「医療」を軸に話を聞いた。
明治25年から120年以上にわたって地域医療を支え続ける鎌倉市医師会。診療所から総合病院まで約230人の医師が所属し、鎌倉市の健診・検診事業や乳幼児健診といった日常の健康管理から、休日夜間急患診療所の運営や鎌倉訪問看護ステーションなどの介護医療サービス、災害時医療の対策など、活動は多岐にわたる。
全国的に医療現場では人口の高齢化による影響は共通の課題で、鎌倉市も例外ではない。高齢者は転倒から骨折に至るケースも多く、足腰の不調から運動不足になり、さらに身体が衰える負のスパイラルになることも。山口会長は「骨粗しょう症の健診を導入した方が良い」と提案する。市では、がん検診や歯周病健診などを実施しているが、これらは自らの健康を意識するきっかけとなり、早期発見は治療の大きなアドバンテージとなる。「骨粗しょう症健診を導入している自治体は多くはないが、5年や10年の間隔でも良いから取り組むことで市民のためになる」と話す。
また、今年6月には関係団体と連名で訪問介護・看護でのハラスメント対策についての陳情を鎌倉市議会に提出した。
この陳情では、現場からの声をもとに、ハラスメントの現状や相談窓口の設置、被害を受けた従事者の支援、複数名訪問や緊急時連絡体制強化などを訴え、総員賛成で採択された。市では相談窓口の周知、事業者向けの研修会の拡充などを検討しており、「サービスを提供する側もされる側も、互いに尊重し合う意識が大切。医療や介護の担い手不足が拡大すると、サービスを継続できなくなる」とうなずく。
近年の物価高騰による影響も、医療現場に重い負担となっている。「全国的に病院の約8割、診療所の約4割は赤字」と山口会長。人件費や光熱費、薬価などが上昇すれば一層厳しさは増す。「診療報酬が長く据え置かれている状況がある。物価上昇にあわせた対策の要望を今後も続けていきたい」と話す。
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