鎌倉 コラム
公開日:2026.02.27
鎌倉のとっておき 第191回
かまくら花めぐり海棠(かいどう)
陽春の頃、淡い紅色に咲く海棠の花。古(いにしえ)の中国(唐)の玄宗皇帝が、眠り足らず、酔い覚めきらぬ楊貴妃の妖艶な姿を「海棠の眠り未だ足らず」と形容したとの逸話から、海棠は「睡(ねむ)れる花」とも呼ばれ、美人の代名詞になっている。
14世紀・室町期に中国から渡来したという海棠だが、その優雅で美しい花姿から、鎌倉縁(ゆかり)の文豪の作品にも登場している。
川端康成は、『海棠花(はな)未眠(みみん)』(花は眠らない)の中で、熱海の宿で夜中に目覚めた際、部屋に飾られた海棠を見つめ、命いっぱいに咲く姿に、切ないほどの美しさを感じたことなどを繊細で美しい世界観で表現している。また小林秀雄は、『中原中也の思い出』の中で、中也の恋人を奪い仲違いした後、しばらくぶりに再会し、妙本寺の散りゆく海棠を二人眺めた様子などを写実的に表現している。
そんな海棠の咲く寺院といえば、長谷周辺では光則寺。本堂右の樹齢約200年の古木をはじめ、複数の木々が境内を春色に彩る。また扇ガ谷の海蔵寺の本堂前でも、色鮮やかに咲く花々が春の賑わいを演出する。
そして妙本寺。祖師堂左右の枝ぶりのよい一対の木が、淡紅色に染まる様は見ごたえ十分である。特に海棠手前の染井吉野と花期が重なる年には、海棠と桜花との美しいグラデーションを目にすることができる。
海棠の見どころも数多(あまた)の古都鎌倉。鎌倉文士もこよなく愛した文学薫るまちである。
石塚 裕之
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