福島県から移住したラテン打楽器“教え屋” 加藤 ちゃぼさん 香川在住 51歳
リズムの魅力で復興に一役
○…ラテン打楽器の楽しさを伝える”教え屋”として活動している。東日本大震災、福島第一原発事故を機に昨年8月、いわき市から故郷である茅ヶ崎へ移住した。「育った場所に戻ったという嬉しさもありますが(いわきは)永住するつもりの場所だったので残念な気持ちもありました」。何処か吹っ切れた表情も見せるがその胸中は複雑だ。
○…ギターを爪弾く程度だった音楽への思いが一変したのは20歳の時。先輩に連れられて観た”ラテンの王様”ティト・プエンテが奏でるサルサを「とにかくリズムとピアノの気持ちよさに驚いた。運命の出会いでした」と振り返る。打楽器演奏は会社員時代も続けた。「人に教える機会が増えてきて、このままじゃ仕事も打楽器も中途半端になってしまうと感じたので8年前に仕事を辞めました」。現在、打楽器教室は県内10ヵ所の他、東北でも継続。また各地の障害者施設などでその魅力を伝えている。「叩くだけで演奏に参加できるのが打楽器のメリット。これに気付いて貰えた時がこの仕事をやっていて良かったなと思う瞬間です」。
○…市内香川で両親、妻、2女の6人暮らし。「叩く以外に楽しみなんて無くても良いって思っているくらい」と笑った後に教えてくれた趣味が家作り。いわき市に建てた自作のドームハウスは住める様になるまで5年を要した。田舎暮らしへの思いが詰まったかつての自宅は手放さず、東北での活動拠点としてこれからも使っていくという。
○…「僕の財産はこれまで教室等で出会った5万人の人。いつか10万人まで増やしたいですね」。今後は首都圏での演奏活動などを視野に入れつつも、東北との関わりは保っていきたいと話す。「震災からの復興はドラマティックなものになる。自分のペースで活動を継続して福島を盛り上げていきたいですね」。湘南と東北、2つの故郷から叩くだけで生まれるリズムの魅力を発信していく。
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