茅ヶ崎・寒川 人物風土記
公開日:2025.12.05
原爆をテーマにした朗読会を開催し、今年で30年目を迎えた
宇都 純子さん
鎌倉市在住 76歳
朗読で核被害の実相伝える
○…広島・長崎の原爆の実相を知ってもらおうと朗読会を行う団体「ヒロシマを考える会・神奈川」の代表を務める。メンバー5人で年に1回、茅ヶ崎で自主講演を行っており、12月9日には茅ヶ崎市民文化会館で節目となる30年目の会を開く。「身近な人たちにこそ、原爆について知ってほしいと活動を続けてきた」と思いを口にする。
○…今回取り上げる『小さな島の大きな悲劇』は、広島湾に浮かぶ似島(にのしま)にあった陸軍検疫所の衛生兵だった小原好隆さんの手記。原爆投下後、検疫所は野戦病院となり、多くの被爆者が送られ、亡くなっていった。「初めて読んだ時には何もできずに死んでいった被爆者に対する小原さんの思いを受け止め切れず、読み進められなかった」。だが今年、似島を訪ね、防空壕など戦争の傷跡を見て回ったことで「小原さんの経験を伝えたいという思いが強くなった」という。「手記のなかには、君が代を歌いながら亡くなっていった子どものエピソードもある。小原さんの残した記憶にできるだけ迫りたい」
○…朗読を始めたのは45年前。小和田公民館のグループに参加したのがきっかけ。後に、秦野の公民館から依頼を受けて原爆の朗読会をするようになり、同団体が発足した。元々は芝居が好きで「舞台女優になるのが夢だった」。50代で鎌倉の市民劇団に所属し、情熱を注いだのは一番の思い出。一昨年は喜劇の朗読劇にも出演した。
○…朗読会は「年に一度、原爆と向き合う場」とし「これだけ人間の形が変わってしまう兵器が存在し続けていいのか、私たちはもっと原爆を知らなければ」と危機感を募らせる。「会を通じ、亡くなった方の思いを一人でも多くの方にわかってもらえたらうれしい」
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