茅ヶ崎市農業委員会の新会長に就任した 加藤 俊明さん 中島在住 76歳
農家の気持ち 誰よりも
○…「21人の委員の力を借り、茅ヶ崎農業の振興と子育て世代のママに向けた食育に力を注ぎたい」。勇ましく発言するその姿から、責任感の強さが伝わってくる。11年前にJAさがみ代表理事組合長に就任した経歴を「浮世の悪戯だよ」と謙遜。しかし、はっきりとした意思表示に、抜群のリーダー気質がひしひしと感じられる。
〇…今も住まいにしている中島の家で産声をあげた。鶴嶺小中を経て、平塚農業高校へ進学。当時を「高校はほんの少しもらえる休息みたいだった」と語るのは、代々引き継いだ野菜畑で朝4時からの一仕事を終えていたからだ。「昼食後にうたた寝していると同級生に『具合が悪いのでは』とよく心配されてね。ただ疲れていただけなんだけど」と大笑い。その同級生は、今でも小田原で農業を営む同志であり、親友だという。
〇…「数学が好きだった。一つの公式で様々なものに応用できるから」。学生時代の学びは、畑という職場で気象学、生物学、化学に発展していった。「この中島から見える富士山を挟み、日没が右か左かで、作付日程を決めたんだ」と20代で独自発案した内容をイラストで保管。その解り易さが評判を呼び、JA組合長時代から全国12カ所で講演を行った。また、JAさがみへの海老名の合併やわいわい市の創設など、幅広い事業への尽力は計り知れない。
〇…「安全・安心・新鮮な茅ヶ崎産野菜を、現代ママさん達に理解してもらう活動を」と農業の将来についても思慮深い。新規就農者の受け入れにも積極的で、農地を貸し夫婦で技術指導した青年を今春独立させた。力強く「誰よりも農家の気持ちがわかる」と話す横で、西久保出身の妻が微笑む。夏は孫と一緒に泳ぎ、地元日枝神社の総代も務めた祭り好きの元気なおじいちゃんだ。「私は一生涯農家でいたい。根っからの百姓だからね」と育てたスイカを頬張る笑顔は、夏の太陽の様だった。
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