2014年度神奈川県保育賞を受賞した 斉藤 由紀子さん レイモンド湘南保育園勤務 53歳
○…神奈川県保育賞の受賞に「今があるのは関わってくれた人達のおかげですね」。保育士の模範として県内で8人が選ばれ、市内では唯一となった。その児童の安全、被虐待児の把握に努める姿勢には、30年近い経験と変わらぬ保育への思いが在る。「朝お預かりした時に傷が無いか、親の関わり方はどうか、児童にいつでも手を差し伸べられる距離で見守っています」
○…保育士になった理由を「ありきたりだけど、子どもが好きだったんですよ」と思い返した末、それ以上の答えはないと笑う。勤め始めた時は辛さもあったが、挫けそうな時や仕事の愚痴を漏らす時、亡き父の言葉がいつも脳裏を過ぎった。「子ども一人ひとり平等に、穏やかに、厳しく。未来ある子ども達だからね」―。その言葉は今も保育観を支える、忘れられない言霊だ。
○…生まれは新潟県。両親と祖母、妹の5人家族だった。町内のカラオケ大会で自らマイクを手にする歌好きの少女で、その実力は小学6年の時に「欽ちゃんのスター誕生」のオーディションで歌の審査を通ったほど。「当時、百恵ちゃんや森昌子さんが出ていて。この人たちが出れるなら自分もいけるって。当時はですよ」。はっとして最後に付け加え、口を噤んで冗談めかす。歌う事は中学に入っても合唱部で続けたが、この頃から幼い子どもを見るとつい声をかけてしまう性分に、保育士心の芽生えがあったのかもしれない。
○…現在は会社員の夫と寒川町に住む。看護師の一人娘は「里芋と大根とイカの煮物」が恋しくなった時に帰省してくるそうだ。「一緒に住んでいた時は食べたいなんて聞いたことない」と微笑み、母親の顔を見せる。仕事では市内円蔵のレイモンド湘南保育園で主任を務める傍ら、子育て支援活動の講師として保育講習を行う忙しさ。「落ち着いたら新潟の母を温泉に連れて行こう」。遠くの空に目をやり、「感謝しなきゃ」と親孝行を心に決めていた。
父に貰った言葉を糧に
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