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茅ヶ崎版 公開:2015年6月12日 エリアトップへ

茅ヶ崎出身の歌人故・中澤系氏 「幻の歌集」復刻 家族・友人らの尽力で実現

文化

公開:2015年6月12日

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出版された歌集と書を持つ中澤瓈光さん
出版された歌集と書を持つ中澤瓈光さん

 2009年、一人の歌人が38歳の若さでこの世を去った。歌人の名は中澤系さん(本名・中澤圭佐)。04年に上梓された歌集の新刻版「uta0001.txt」(双風舎)が命日の4月24日に出版された。復刻には、妹の書家・中澤瓈光(りこう)さん(43/本名・伊川和美)をはじめ地元の旧友などによる熱心な活動が実を結んだ。

 中澤系さんは歌人・岡井隆氏に師事。98年に「3番線快速電車が通過します理解できない人はさがって」などを含む20首「uta0001.txt」で未来賞を受賞した。注目の若手歌人として将来を期待されるも、02年に運動機能が失われていく難病の副腎白質ジストロフィー(ALD)を発症。やがて寝たきりになり、意志の疎通すら難しくなってしまう。そんな中、以前から「歌集を出すことで自分の生きた証を残したい」と話していた系さんの思いを受け、有志の手により初の歌集が出版された。だがその後、版元の雁書館が廃業したため、絶版に。一部では「幻の歌集」といわれ、手に入りにくい状態が続いていたという。

「つぶやき」から始動

 復刊のきっかけは3年前「もし中澤系さんの歌集が復刊されたら、買いたいという人はどのぐらいいるのだろう」というTwitter上のつぶやきから始まった。このつぶやきはSNSで拡散され、その後、復刊を目指す「中澤系プロジェクト」が立ち上がる。

 「最初の出版の時は子育てに追われ、手伝えなかった。兄のことなので人任せではいけないと思って」と瓈光さん。今回はプロジェクトの中心メンバーとして、読書会の開催や出版社探しなど精力的に動き回った。

 出版が本決まりになった昨年7月、瓈光さんは死後そのままになっていた兄の部屋を整理した。そこで発症前、系さん自身で歌集の出版に向け準備していた歌集のゲラを発見する。「赤字の書き込みや小題がついていた」。当初は「雁書館版」を復刻する形を目指していたが「兄の字をみて、こっちを優先したいと思った」と話す。新刻版は雁書館版をもとにしつつ、発見されたゲラを参考に、章タイトルや歌の表記などを改訂。社会学者の宮台真司さんの特別寄稿と歌人・斉藤斎藤さんの解説が新たに加えられた。「兄を知らない若い世代にも手に取って欲しい」と願いを込める。

同級生が語る人柄

 復刊にあたり元同級生・西城(旧姓・矢野)享子さん(44)=下段写真左=と富田雄也さん(同)=右=に話を聞いた。

 西城さんは高校時代の同級生で系さんと同じ吹奏楽部。06年にmixiにコミュニティを立ち上げ、全国に歌集を広めるきっかけを作った。「中澤君は口べただったけど気が回り、こだわりのある人。ストレートにものを言わない性格が歌に出ていて、そんな所も多くの人に共感を持たれている理由では」と語った。高校、大学が同じだった富田さんは「聡明で寡黙。ちょっと変わっていたが、クラスの催しなどにはよく協力していた。改めて復刻本を読み直したい」と話した。

 「uta0001.txt」(1900円/税別)は長谷川書店ネスパ店ほか、全国の書店で取り寄せが可能。
 

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