茅ヶ崎市美術館の学芸員として担当した企画展が美術館連絡協議会の奨励賞に選ばれた 月本 寿彦さん 東海岸北在住 43歳
常に中立、普通に
○…「今後の企画のプレッシャーになりますね」。自身が企画を担当し、昨年9月から11月にかけて開催した企画展「棟方志功 萬鉄五郎に首ったけ」が美術館連絡協議会の奨励賞に選出された。茅ヶ崎市美術館の学芸員として多くの人々の「知りたい、学びたい」という知的欲求を満たすための努力に余念がない。
○…山形県米沢市生まれ。少年時代から絵を描くことが好きで、小・中・高校でさまざまな絵画賞を受賞するほどの腕前だった。「学生時代はスポーツが得意な人はたくさんいるけれど、絵が得意な人は意外に少ない。モテたかどうか?どうですかね?」と照れ笑い。大学時代の美術館でのアルバイトがきっかけで学芸員を目指すことに。裏で支える仕事に面白さを感じ、文化貢献できる素晴らしさが青年の心を揺さぶった。しかし教授の強い説得に押し切られ高校の美術教師に就くも「何か違う」と自分の居場所を求め1年で退職。念願叶い山形美術館の学芸員になり絵に囲まれる日々を送っていた。
○…現在単身で茅ヶ崎に暮らす。「短い人生、チャレンジしないと」と妻と5歳になる息子を山形に残し2014年に茅ヶ崎市美術館に転職。今は帰省した際に息子と遊ぶのが何よりの楽しみだ。人見知りせず、どんな人でもすぐ懐に入ってしまう。「常に中立、普通でいることを心掛けている。恰好つけてもすぐバレてしまうから」。仕事柄美術館や画廊巡りはもちろんのこと、映画やジャズ、カメラと多趣味。また10年ものの手作りヨーグルトに一家言をもっていて「結婚前から作っているカスピ海ヨーグルトがある。長期の留守には冷凍しています」と目を細める。
○…「展覧会はナマ物。その空間に自分がいるのはその時だけなので、是非美術館に足を運んで欲しい」。美術愛をにじませ、微笑んだ。プレッシャーを跳ね除けて発表する今後の企画展にますます期待が高まる。
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