茅ヶ崎市美術館「あそび展」を企画した学芸員 藤川 悠(はるか)さん 東海岸北在住 38歳
アートの力信じて、前へ前へ
○…アートへの並々ならぬ熱意がほとばしる“パワー型学芸員”。ワークショップなど芸術の教育普及や現代アートを得意とし、面白そうな企画や作家がいれば、西へ東へ。芸術の可能性を広げるような、これまでにない企画を目指し奔走する。
○…広島市出身。料理で人を幸せにすべく調理師への道をひた走っていたが、高校3年の冬、ふと気まぐれで現代アートの企画展に足を運んだ。目にしたのは枯れゆく生花を展示した作品。「私、アートに出会ってしまったんですよね」と興奮気味に振り返る。これが作品なのか、美とは、芸術とはなんなのか。半ばパニックのように館を出ると、景色が流れ込むような感覚に襲われた。「既成概念が崩されて、脳が、視界がスパークしたんです。1つの展示によって、これまでの世界の見方を、人生を変えられてしまった」と瞳を輝かせる。
○…昭和女子大学で空間建築分野を学び、広島現代美術館、森美術館、東京都現代美術館などを経て、茅ヶ崎市美術館で4年目の夏を迎えた。一時は、子育てをしながらの働き方に悩み、フリーランスのエデュケーターとして働いたことも。「茅ヶ崎はおおらかな街。周囲の方のサポートを得て、今は楽しく働けている。ありがたい」と微笑む。最愛の娘は現在小学2年生。「私にはない彼女なりの視点が興味深い」と、一緒に全国の展示会巡りや漬物作りをするのが楽しくてしょうがない。
○…「アートって、なんなんでしょうね」。ひた走る中、時折考えることがあるという。その答えを探して、近年は作家や障害者らとともに、視覚以外でのアートとの関わり方も模索している。「作品と鑑賞者をダイレクトにつなげたい。アートの力は無限大。美術館で体感してほしい」とまっすぐな笑顔を見せた。
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