茅ヶ崎・寒川 人物風土記
公開日:2018.09.28
10月1日に市民文化会館のこけら落とし公演で指揮を務める
上野 正博さん
本村在住 52歳
現場にこだわるマエストロ
○…リニューアル初日に「神奈川フィルハーモニー管弦楽団記念演奏会」でタクトを振る。「新しくなったホールの響きが楽しみ」と期待を寄せる。文化会館に立つのは、第九演奏会や市制60年の神奈フィル公演以来約10年ぶり。「いらっしゃるのは抽選で選ばれた市民の皆さん。普段クラシックに馴染みのない方も気軽に楽しんでもらえれば」
○…浜見平出身。「普通のサラリーマン家庭だったが、高度成長期で一家に一台ピアノがある家庭が増え、5歳の時に習い始めた」。父の転勤で北海道に転校した小4の時、大学のオーケストラが演奏に来た際、指揮を体験する機会があり真っ先に手を挙げた。「転校したばかりでただ目立ちたくてね」と笑顔を見せる。初めて指揮をしたその日のことは今も忘れない。
○…横須賀で過ごした中学時代は、合唱祭で指揮を担当。高校では吹奏楽部でオーボエなどを演奏しつつ指揮も務めた。その頃鑑賞した演奏会で、「奏者たちが指揮者を見る真剣なまなざしや、オケの一体感に心を打たれた」。指揮者を志し、東京藝術大に進学。「現場にこそ学びがある」と持ち前の行動力で学外のオーケストラの練習場へ足を運び続けた。結婚後、30歳でベルリンに留学。国内主要オケに客演してきたほか、オペラ指揮者としても活躍。東京藝術大や東邦音楽大で教鞭を執り、後進の育成にも励む。
○…妻と大学生、高校生の息子の4人家族。「息子たちはバリバリの理系。得意なことを伸ばしてほしい」と個性を尊重し、自身の目標は「生涯現役」だ。「人の琴線に触れるのは手間暇を掛けたもの。演奏会には、イヤホンで聞く音楽とは全く違う感動がある。奏者の息づかいを全身で感じてもらいたい」。情報が溢れ便利になった今だからこそ、現場で伝えたい音がある。
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