恵泉幼稚園(中海岸)は1935年に創立した市内最初の幼稚園。運動会などと並ぶ同園の人気行事が「恵泉汁の日」だ。PTAが子どもたちのために作る園オリジナルのレシピには、初代園長の幼児教育に対する思いが込められていた。
11月13日、園内の調理室はPTA役員とクラス代表の保護者28人で朝からにぎわっていた。野菜を刻むリズミカルな音、漂ってくるおいしそうな匂いに釣られて、子どもたちが待ちきれずのぞきにくる。園秘伝のレシピで作られる「恵泉汁」はとてもシンプル。みじん切りにしたタマネギ・キャベツ・大根・人参・サツマイモ・ベーコンと豚ひき肉を炒めた後に煮込み、味噌で味を調えて完成。昼食に登場すると、「大好き。おかわりする」「ずっと待ってたんだ」と、子どもたち。それを眺める保護者、教職員も笑顔がはじける。
食を通じた交流と学び
同園の創立者で初代園長の高橋誠一氏は医師でもあり、幼児教育における心と体の健康の関係性を重要視していた。当時の幼稚園ではお弁当が主流であったが、食を通じた交流と教育への思いを込め、創立当初から週1回給食を提供。家庭教育の面から、園の栄養士と共に保護者らが交代で参加し、調理を行っていたという。その際に提供されていたのが恵泉汁。現園長の大森美保子さんは「給食提供時はまだ名前がなく、平成に入り週1回の給食が終了しお弁当に移行した後、園のバザーでふるまわれるようになった際に『恵泉汁』と呼ぶようになりました」と説明する。バザーが無くなった際「味と思いを継いでいきたい」という保護者の声があがり、年に1回秋の収穫に合わせ、園児らに恵泉汁を振舞う「恵泉汁の日」がスタートした。
今年は計400人分を約2時間かけて作り上げた。PTA副会長の肥田木さな絵さんは、自身と母親も卒園生。「苦手な食材も皆で食べる恵泉汁だと大丈夫という子も」と微笑む。夫と義母が卒園児だという会長の仁井田真由美さんは「家でも作っていて、夫も約40年前の味を思い出すよう。ほかの園ではない行事。続いてくれればうれしい」と話した。
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