防犯灯の維持や修繕費用に充てる交付金が名目外で使われていた問題で、茅ヶ崎市は2団地自治会を相手に、総額1878万円の返還を求めて訴訟を起こす。市議会本会議で2月28日に採決され、賛成多数で可決した。両自治会は同日、「自治会にすべて責任を転嫁する裁判は不当」と声明を発表した。市が自治会を訴えるのは異例。
市は、鶴が台団地(約2400世帯/青木有俱会長)と浜見平団地(約1900世帯/武田市太郎会長)の自治会を訴える。鶴が台には10年間で支払われた1052万円、浜見平には826万円の返還を求める。
■経緯
防犯灯の交付金をめぐっては、1996年に防犯灯の維持管理業務が自治会から市へ移管するに伴い、市が電力会社に直接支払うこととなった。
しかし鶴が台と浜見平を含む7自治会は、防犯灯の電気料金とほかの電気料金が設備上分けられず、市が防犯灯の電気料金分を自治会に補助金として交付していた。
「防犯灯維持管理に係る協定書」は06年に市と7自治会との間で取り交わされた。庁内の補助金を見直す動きの中で防犯灯の電気料金が、自治会が市の負担すべき電気料金として支払っている負担金に名目が変わった。これを受け06年から16年まで、市は負担金として、防犯灯の電気料金を7自治会に支払っていた。
問題は、16年に鶴が台団地総会に出席した市議会議員の指摘で発覚した。市が自治会に支払っていた電気料金分の負担金が、自治会活動費に充てられていた。報告を受けた市が7自治会を調査、鶴が台と浜見平を含む3自治会が負担金を別の用途で使っていたことがわかった。
3自治会と協議を進め、1自治会は過去分の負担金を管理組合に支払ったことで清算されたものとして、市は返還請求をしないこととした。一方、鶴が台と浜見平との協議は平行線をたどった。民法上、問題が発覚してから3年で時効となることから約2年の協議を経て、今議会で市は訴訟を起こす方針を明らかにした。
■焦点
なぜ自治会は負担金を電気料金に充てていなかったのか。
両自治会によると、実際の電気料金の支払いは、団地を管理する都市再生機構(UR)が全住民から集めた共益費で電力会社に支払われている。
また、交付された電気料金を自治会の会計に繰り入れる方式は交付金が始まった約50年前から市側から容認されていたとしている。協定書の締結以降、自治会が市に毎年提出する報告書にも「この電気料は居住者からの共益費により支払っております」と明記されていた。さらに、06年の協定書締結の際も市側から「以前と取り扱いは変わらない」と説明があったという。
鶴が台の青木会長は「自治会活動費に繰り入れていたが、住民が分け隔てなく参加できるイベントをしたり、総会で交付金の使途を公表したりすることで透明性は確保していた」と話し、「市の指導通り行ってきたにも関わらず政策解釈が転換するのは行政の継続性の原則に反し、信頼関係を損なう」と主張する。
■今後
市議会本会議の討論では、「十分な議論が尽くされていない」と反対意見が挙がったが、「主張は平行線のままで、司法の場に委ねるべき」と賛成の意見が多く、賛成17人、反対7人(退席1人)で可決された。
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