NPO法人茅ヶ崎野球協会の有志5人が、茅ヶ崎公園野球場で行われる協会主催試合の場内アナウンスをしている。子どもたちの士気向上や、野球人口の底辺拡大に一助する「ウグイス嬢」の姿を追った。
「1番キャッチャー、坂間君」。ウグイス嬢の声が球場内に響きわたる。試合の幕開けを告げるアナウンスを機に、「一本見せてくれよ!」などスタンドからエールが飛び出し、真剣勝負が繰り広げられる。
ウグイス嬢の正体は、茅ヶ崎野球協会の有志5人。元は各球団の保護者が持ち回りで担当していたが、独特の発声法や野球ルールの理解など専門性が高いため、6年前にアナウンス部が立ち上がった。スコアボードと音響設備が整う茅ヶ崎公園野球場での試合で、開会式や閉会式、試合のアナウンスを担当する。
神宮千春さんは、同部の立ち上げから携わる。幼少時に野球のスコアラー経験があったことや、息子が少年野球団の中海岸ホークスに所属していたことが重なり、「ウグイス嬢デビュー」を果たした。
少年野球は、投手の球数制限や全員に出場機会を与えたい球団監督の意向もあり、頻繁に選手の守備位置変更が行われる。相手チームも含め、球場内の情報伝達は場内アナウンスの肩にかかっているため、報告のたびに室内には緊張が走る。「絶対に間違えられない」と神宮さん。
グラウンドが一望できる部屋から、決勝戦で12点差を逆転され泣き崩れる投手や、エラーして意気消沈する野手など、多くのドラマを見届けてきた。ウグイス嬢は、公平性を保つため感情表現は良しとされないが、神宮さんは、「心の声はつい『頑張れ』と応援してしまう」。
「野球の楽しさ感じて」
少子化の影響や他種目の人気もあり「野球離れ」が課題だ。同協会専務理事の乾常二さんによると、約10年前は1球団でも1学年で1チーム作れたが、現在は1球団1チームになりつつあり、球団の統廃合が進んでいるという。
神宮さんは「全力を尽くし仲間と協力して得る勝利や、自責による敗北の悔しさなど、少年野球には、ここでしか得られない経験が詰まっている」と話し、「私たちの声で、彼らが大人になっても野球を楽しいと思ってもらえたら」と成長を見守っている。
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