石田スイによる人気コミックを原作に、窪田正孝主演で実写映画化された「東京喰種」のシリーズ第2作目として今夏上映された話題作『東京喰種トーキョーグール【S】』。同作品で監督を務めた平牧和彦さん(31)に、裏話や地元・茅ヶ崎の思い出などを聞いた。
おもしろい作品できる
「映画やらない?」。“ご飯行かない?”のような軽い口調で、所属する制作プロダクション・ギークピクチュアズの社長から電話がきたのが2018年8月。2カ月後にクランクインを控えた劇場映画『東京喰種S』の監督を打診する連絡だった。
これまで、テレビCMやwebムービー、長くても5分程度のミュージックビデオをディレクションしてきた平牧さんは、その電話を「冗談かと思った」という。劇場映画となれば、上映時間は90分を超えてくる。「無理だと思って一度は断った」が、推薦してくれた社長の熱意や、監督が同期入社の川崎拓也さんとの2人態勢ということもあり、「おもしろいものができる」と引き受けた。
シリーズ第2作目とあって「プレッシャーもあった」というが、初映画監督作品を「より良いもの」にするため、限られた時間のなかで原作を一から読み直し、脚本家らと話し合いを重ね、急ピッチで準備を進めた。
撮影を振り返り、特に大変だったというのが「登場人物の心理動線」。各々の葛藤をつぶさに表現し、見応えのある作品に仕上げた。さらに、劇中で主人公の目が赤くなる様子は全てCGで制作されているといい、「これも本当に映像の確認が大変だった」と苦笑いした。
目立ちたがりの映画好き
テレビゲームが大好きな少年だった。水泳教室に通ったり、少年サッカーチーム鶴嶺FCで友人らと切磋琢磨したというが、「小学5年で50m走が10秒ジャストで、絶望的に運動神経がなかった」と苦々しい表情に。鶴嶺中学入学後は、サッカー部に所属しながらも運動以外で目立てる方法を考え、その結果、文化祭の実行委員や合唱祭の指揮者などに立候補した。
映画好きな母親の影響で、幼少期から話題作にはほとんど触れてきた。大磯ロングビーチの駐車場で行われていたドライブインシアターに連れられて行ったのも良い思い出だ。「サティ(現イオンスタイル湘南茅ヶ崎)に映画館ができた時はテンション上がりましたね」と頬を持ち上げた。
茅ケ崎高校時代も国士舘大学時代も「映画は観るもので撮りたいと思ったことはなかった」。その心境に変化が起きたのが、就職活動中だった。「映像を作る仕事」があることを初めて知った平牧さんは、知れば知るほどその世界に身を置きたいと考えるように。大学卒業後に専門学校で2年間映像を学び、ギークピクチュアズに入社した。
実家は県内で4店舗を展開するデセール洋菓子店(本店/南湖)。今でも年に数回は帰郷する。地元に戻ると学生時代を色濃く思い出すといい、「将来の夢とか趣味とか、やるかやらないかで迷っていたら、とにかく行動してみるといい。やってみると案外おもしろい事が多いよ」と後輩にエールを送った。自身の夢は「映像を使って人の役に立つこと」だ。
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