茅ヶ崎・寒川 社会
公開日:2022.04.08
街を走る広告
「ラッピングバス」はどう作る?
神奈中バスに潜入取材
街でよく見かけるバス広告。中でも、「車体全体に描かれている広告は、どんな風に作られているの?」「ペンキで直接、塗装しているの?」と疑問に感じている人も多いはず。実は、デザインや写真を印刷した「特殊フィルム」を貼り付けたもので、一般的には「ラッピングバス」と呼ばれている。今回、市内を走る路線バスに、新たにラッピングを施すとの情報を聞きつけ、高田にある「神奈川中央交通 茅ヶ崎営業所」を潜入取材した。
3月下旬。営業所を訪れたのは、早朝5時。
夜明け前の寒空の下、すでに始発バスのエンジン音が響きわたり、運転士も車体点検や出発準備に勤しんでいた。そして、整備工場には、カーラッピング業者の職人の姿が。聞けば、この前に駅で一仕事を終えているという。
4人の職人が念入りに行っていたのは、柔らかなタオルで車体を磨く作業。「汚れや埃が残っていると、フィルムを貼る時に空気が入り込んだり、凸凹になってしまうため、しっかりと拭き取ります」
この日は、南湖の塗装会社「(株)翼工業」の広告をラッピング。同社の竹之内謙社長と看板犬のイラストが、白を基調にパステルカラーでデザインされている。
プランは窓下までの「ハーフラッピング」で、全長約10mの車体側面と背面の計3面に貼り付けることに。担当者によれば、前面まで貼ってしまうと、バス会社が分からなくなるため、前面は施さないのが一般的だそう。
耐候性フィルムを窓と並行に仮止め
細長い箱から取り出されたのは、広告が印刷されたロール状のフィルム。特殊加工され、紫外線や雨風、高低温などの過酷な条件下でも使用できる。横幅は120cmほどで裏面はシールになっている。
それを予め作成された「完成図面」をもとに、マグネットや養生テープで仮止め。窓枠と並行に合わせていくのがポイントだ。
難所は背面
今回、一番の難所ともいえるのが、背面部分。ちょうどフィルムには、顔部分が鼻から真っ二つに半分ずつ描かれており、左右2枚を正確に重ねる必要があるのだ。当然、わずかなズレも許されない。
2人1組で、綿密に位置を決めたら、一気にフィルムを張る作業へ。長年の経験と感覚をもとに、一片の迷いも無く、裏紙を剥がし、手際良く車体に密着させていく。互いに声を掛け合うこともないのに、息もぴったりだ。そして、黙々とゴムベラを走らせ、フィルムの空気を抜いていた。
さらに、テールランプや乗降ランプ、ナンバープレート部分も、カッターで綺麗にカット。凄まじい集中力で作業が進み、背面完成までの作業時間は、わずか15分ほどだ。
「想定以上にクオリティが高いですね」。竹之内社長からも、その職人技にリスペクトの声が漏れていた。
熱を加えて密着
途中、ドライヤーのような温熱器を当てる一幕も。「この時季、車体が冷えるので、熱を加えてフィルムの糊をしっかりと付けていきます」。くり抜いたところは、特に剥がれやすいので念入りに密着させるという。
2時間足らずで全工程が完了。ズレはもちろん、空気の入り込もなく、見事な仕上がりだ。
今回、「感謝塗装」(ありがとそう)というメッセージを車体に託した竹之内社長は、「下積み時代から今まで、地元の茅ヶ崎の皆さんに育てていただいた。そんな感謝の気持ちをこのラッピングバスで伝えられたら」と思いを語った。
今回施工のラッピングバスは3月下旬から、市内を運行している。
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