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茅ヶ崎・寒川版 公開:2022年8月12日 エリアトップへ

製糸場跡に記念碑設置へ 市民団体 年内実現めざす

社会

公開:2022年8月12日

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製糸工場・純水館で糸をつむぐ作業に取り組む女性従業員たち=個人所蔵・茅ヶ崎市提供
製糸工場・純水館で糸をつむぐ作業に取り組む女性従業員たち=個人所蔵・茅ヶ崎市提供

 茅ヶ崎市の歴史研究や散策などを行うグループ「ちがさき丸ごとふるさと発見博物館友の会」(丸博友の会)は、大正から昭和にかけて現在の新栄町に存在した製糸工場「純水館」の跡地に記念碑(歴史掲示板)を設置する計画を進めている。市民からの要望を受けたもので、広く寄付なども募りながら年内の実現をめざす考えだ。

 設置予定場所は茅ヶ崎駅北口のヤマダデンキ北側にある公園。土地を所有するヤマダデンキホールディングスの厚意で、記念碑を設置する運びとなった。

 「純水館」は、現在のヤマダデンキ付近に1917(大正6)年から35(昭和10)年まで操業していた。

 長野県の小諸(こもろ)で製糸工場を経営していた実業家の小山房全(ふさもち)が、病気療養のため茅ヶ崎にあった南湖院に入院したのを機に建設。面積は1万2000坪で、最新器械204窯を備え、約400人体制で生産。小諸から出稼ぎに来た女性従業員がその中の半分以上を占め、地元茅ヶ崎の住民も100人ほどが働いていた。

 22年には米国の視察団が工場を来訪。翌年にはニューヨークの国際絹織物展覧会で紹介されるなど世界屈指の高品質な生糸として海外から高く評価されていたが、関東大震災で建物の大半が全壊。翌年に操業を再開するも小山が病死し、世界恐慌などの影響も受け、工場は閉鎖された。

講演会が契機に

 同会は昨年10月、純水館の歴史をテーマにした特別講演会を開催。その際、来場者から「純水館に関する案内板などはないのか」といった声が多く聞かれたという。

 そこで講演会の実行委員長で同会の会長代行の有村幸三さん(75・東海岸北)は会のメンバーと協力しながら、昨年秋からヤマダデンキに対し土地の貸借の要請など、記念碑設置に向けて取り組みを続け、年内に実現するめどが立ったという。

20〜28日に写真展

 設置への機運を高めようと同会では8月20日(土)から28日(日)まで、茅ヶ崎ショッピングセンターで写真展を開催する。時間は午前10時30分から午後5時まで。

 期間中は操業当時の工場での貴重な写真が展示されるほか、会員が工場に関する質問に答える。併せて、記念碑の製作に当てるため1口千円から支援を募りたい考えだ。有村さんは「将来はイトーヨーカドー茅ヶ崎店とヤマダデンキの間から茅ヶ崎郵便局へと続く道を『製糸場通り』と名付けることを市に提案するなどして、歴史を後世に伝えていきたい。ぜひ写真展に足を運んでほしい」と呼び掛けている。

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