寒川町岡田で江戸時代から続く夏の風物詩「大山灯籠」の点灯が、8月17日に終了した。以前は町内外に数多くの灯籠が建てられていたが、町内で明かりがともるのは今回終了した岡田4丁目の1基のみとなっていた。灯りが消え役目を終えた灯篭は21日に撤去され、大山阿夫利神社におさめられた。
江戸時代、大山詣りは夏にしか許されず、その期間には関東一円から約20万人の参拝客が集ったとも言われる。同町教育委員会の元教育長で、大山灯籠に詳しい三澤芳彦さん(72・岡田在住)は「当時は夜道の明かりが乏しかったため、参拝者の安全のために地元住民が立てるようになった」という。
毎年7月25日から8月17日までの間、灯籠を建て、住民が当番制で日が落ちる頃にろうそくを灯していた。當番札を回していたこともコミュニケーションの一つだったと言い、「協力して点灯、管理をしていたから、みんなで守ってきたという感覚もあり愛着もあった」と三澤さん。
昭和に入っても30世帯以上が点灯に協力していたが、近年は9世帯にまで減少。ライフスタイルの変化などから後継者が見つからず、1世帯の負担も大きくなっていた。また、点灯に協力している世帯も高齢化が進み、灯篭の設置や片づけ、点灯しない期間の保管など「体力的にも難しいのでは」との声があがり、今夏で終了することとなった。
15日には、携わってきた住民が夕刻に集合。「自分たちで終わらせると決めたけど、やはりさみしい」「当番の日に子どもと一緒に点灯させた思い出がある」など灯篭を囲んで話していた。
灯篭は今後、大山阿夫利神社で管理される。三澤さんは「長い間守ってきた灯篭なので、何かに活用していただければ」と話した。
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