学芸員のイチ推し! -連載 Vol.29-庚申講で飾られたオヒョウグ
十干・十二支の組み合わせの内、「庚申(かのえさる)」の夜に何軒かの家が集まって夜通し語り明かす祭祀を庚申講と言います。
今回の資料は南湖の下町で使用された庚申講の道具の一つです。茅ヶ崎では、庚申講は農業に従事した家を中心に行われました。
庚申講は一般的には60日ごとに行うところ、南湖では1年に1回は当番が回るように、春と秋の社日(春分の日、秋分の日に最も近い戊(つちのえ)の日)を含む5回行われました。
このオヒョウグには青面金剛(しょうめんこんごう)や三猿が描かれ、比較的近年に制作されたものと推測されます。下町では地神様の掛軸と一緒に床の間に飾り、線香や灯明、専用の食器に盛ったごちそうが供えられました。農作物の豊作を祈願する地神講の祭日に合わせられていることからも、茅ヶ崎では庚申様に農業の神の側面をより期待していたと考えられます。
下町での庚申講は終戦目前の混乱期に途絶え、戦後、これらの道具を保管していた家も農業をやめたため祭祀ができなくなってしまいました。
当時の茅ヶ崎はどんな様子だったのか、6月29日まで開催中の戦後80年企画展「戦中・戦後のくらし」にて、お確かめください。
![]() |
ロボット企業交流拠点ロボリンク神奈川県の「さがみロボット産業特区」の取組みで生活支援ロボット発展へ https://www.pref.kanagawa.jp/osirase/0604/robolink/index.html |
<PR>
|
<PR>