世代を越えた交流の場に
「お小遣い持って来たよー!」。首から下げたガマ口財布を手に元気な声を上げ、夢中でお菓子を選ぶ子ども達。お小遣いで収まるように一生懸命計算し、時には買ったお菓子を友達同士で見せ合う。かつては当たり前のように見られた「駄菓子屋での風景」が、そこにはあった。
昔ながらの駄菓子屋をイメージした「駄菓子カフェ 竹屋萬吉商店(花水台37―7/【電話】0463・35・0766)」が今月3日にオープンした。店を開いたのは老舗割烹料理店「竹万」の三代目・関口雄一さん(33)だ。
「平塚が好きで、地元のために何か出来ないかという想いは以前からあった」と話す関口さん。その目に映るのは、昔に比べて綺麗に舗装された街並みとは裏腹に、シャッターが増え元気をなくしていく商店街だった。
地域の人たちが気軽に交流できる場を作りたい。そこで、今では徐々に姿を消しつつある駄菓子屋に目を付けた。「自分と同世代には懐かしく、今の子たちには新鮮。世代を選ばず楽しめると思った」と関口さん。
店舗は、予約で使うだけの竹万別館を有効活用。本業の合間を縫いながら、友人に協力を仰ぎガレージを半年がかりで改装した。商品は自分が子どもの頃に親しんだ駄菓子を中心に、子どもが買いやすいよう10円からのお菓子をばら売りに。常時80〜100種を並べている。
また、同別館のプライベートダイニングを使い、市内河内の自家焙煎珈琲豆専門店「いつか珈琲屋」に手伝ってもらい、隣に独立したカフェを併設。現在はコーヒーのほか買った駄菓子を持ち込める趣向だが、今後は軽食や甘味類の提供も検討している。
営業は学校が終わる頃を見計らい、昼頃から夕方まで。開店から半月ほどだが、一度家に帰り親や友達、祖父母と遊びに来る子どもたちで店内は賑わいを見せている。近隣の児童が多いが、存在を知って他の学区から来る子どももいるという。
本業の合間に時間を見つけては自らも店頭に立っている関口さん。「経営面など課題は多いけど、ニーズはあると実感する」。買い物にくる子どもたちの姿を昔の自分と重ね合わせ、目を細める。
今後は様々な催し物の企画も考えている。「人が集まれる場にしたい。ベーゴマ名人のおじいさんを探して、大会を開くのも面白いよね」。世代を超え、”子どもの社交場”が新たな形で地域に根付こうとしている。
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