日清食品グループ陸上競技部で活躍する 座間紅祢（べね）さん 26歳
心の平塚 走りで明るく
○…「明るくてのどかな街。人がおおらかで、あったかい」。５歳から中学を卒業するまでの10年間住んでいた平塚の印象を、こう話す。思春期を過ごしただけあって、思い入れも強い。今でもよく連絡を取るのは、平塚の友人だ。「平塚の皆がいなかったら、全うな人生を歩めなかったのではと思うくらい」、離れた場所にいる今でも支えられていると感じる。
○…今年の元日に行われたニューイヤー駅伝で、６区を快走。日清食品グループは２年ぶり２度目の優勝に輝いた。「１度目は入部２年目のときで、がむしゃらに頑張った。でも今年優勝に貢献できたのは、周りの協力のおかげ」と言い切る。何を語るにも、端々に滲み出る感謝の思い。大会前には友人はもとより、近所に住んでいたおばさんまでもが「頑張って」と電話をかけてくる。「僕がテレビで走る姿を見せることで、平塚が明るくなってくれたら」。大会には、街を背負って立つ意気込みで臨んでいる。
○…21日に、自身の所属する会社のイベントで母校の富士見小学校を訪れた。生徒たちにもみくちゃにされ、やんちゃだった自らの子ども時代を思い出す。人の話をあまり聞かず、落ち着きがなかったというが、それを諌めることなく温かく見守ってくれたのが、先生や友達。そんな友達の家に、放課後はいつも走って向かった。今にして思えば、それが「足が速くなる要因の１つだったかもしれません」。息を切らしてまで、早く一緒に遊びたいと思える友達がいてくれた。脚力と人懐こい笑顔は間違いなく、平塚で培われたものだ。
○…哀愁漂う平塚の夕陽は、どこにも勝るという。今でも時々立ち寄っては、眺めて帰る。夕陽の向こうに煌くのは「世界に通用する選手になる」という目標だ。ふと「将来は平塚に戻りたいな」とこぼす。いつかの未来、自身が明るく照らしてきた平塚の街が、夕陽とともにその笑顔を照らし返してくれるだろう。
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