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平塚・大磯・二宮・中井 社会

公開日:2012.06.14

傘の花咲かす 3人の看板娘
明石町「こばり」

  • 左から、光代さん、浩江さん、靖江さん「お客さんとの触れ合いもやりがい」と口を揃える

  • 柄への名入れも無料で行う

 梅雨のシーズンを迎え、市内唯一の傘専門店「こばり」(明石町)では、デパートに負けまいと傘商戦に熱が入る。陰鬱な雨空を彩る傘の販売に携わって45年。数世代の付き合いという客も多い老舗を営むのは、母と2人の娘だ。



夫の遺志継ぎ45年



 店を切り盛りするのは、店主の小針光代さんと長女・片山浩江さん、次女・靖江さん。店内には千本以上の傘を並べ、季節ごとに催される展示会で新商品を仕入れる。「常時これだけの傘を揃えているのがうちの自慢」と浩江さんは話す。



 仕事分担の手際の良さは、気心知れた家族ならでは。客の趣味に合った商品の見立てに関しては、光代さんがお手のものだ。靖江さんは「お得意さんの好みも知っているし、初めてのお客さんでも雰囲気で分かるみたい。母にはかないません」と舌を巻く。



 同店で購入した傘の修理は永久無料という触れ込みは、今も昔も変わらない。専門店が少なくなってきたこともあり、遠方からの依頼もちらほら。カウンター裏に並ぶ修理待ちの傘は100本を超え、中には1日がかりで直す傘もあるという。



 公園通りに面した現在の店は、2度の移転を経て昨年オープン。創業は1968年、小田原の傘屋で修行を積んだ主人の勝さんと光代さんが、明石町通りに3坪の店を構えた。



 しかし90年に勝さんが他界。「小さなお店だし、周りからは店を閉めると思われていたんじゃないかしら。でも、お母さんなら絶対にできると主人に言われて、やらなきゃいけないと決心しました」と光代さんはいう。



 母を気遣い、教員を目指していた靖江さんと、結婚を機に鎌倉へ移り住んでいた浩江さんも店を手伝うようになった。2人とも幼い頃から父の仕事ぶりを見て育ったおかげで、修理技術はすぐに身に付いた。



 夫の遺志を継ぎ、娘の助けも借りながら45年を迎えた。光代さんは「人生はお天気と一緒。雨もあれば晴れもある」と至ってマイペース。2人の娘も「何年続いているのかなんて考えたことがない。周年セールもやったことがないんだから」と似たもの同士だ。

 

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