少子高齢化や地方の過疎化などで全国的に増加する空き家。地域の防犯や防災、景観への影響を及ぼしているとして、国は11月19日、「空き家対策特別措置法」を制定した。平塚市でも特措法を受け、全市的な空き家調査など対策を進める構えだ。
総務省が5年ごとに発表する住宅・土地統計調査のデータによると、2008年の市内空き家率は8・7%で、神奈川県内10・5%、全国13・1%を下回っている。しかし市は「総務省データは抽出調査によるもので正確だとは言い切れない。現状を把握する必要がある」と分析する。
平塚市消防署では、市火災予防条例に基づいて「枯草・空家調査」を毎年実施している。今年度11月の調査では、戸締りがされていない、敷地内に可燃物があるなど、火災の危険性が認められた注意喚起物件は15件確認された。
消防本部では、こうした物件に対し、電話や郵送などで戸締りの徹底や可燃物の処分など、所有者へ注意喚起をしている。しかし強制力がないために対策が講じられないケースも少なくない。同署管理担当は「昨年是正されたのは3件。連絡がつかない物件もあり、毎年同じ物件が対象になる例も少なくない」と話す。
昨年度総務省が行った調査によると、全国272の自治体が独自の「空き家条例」を制定し、地域ごとに生じている防犯や防災、景観問題の対策を進めている。しかし、空き家の除去や修繕を求める通達には強制力がなく、また、所有者が分からないなど、効果が上がりにくかった。
今年11月に成立した特措法は、これらの問題を受け、空き家対策に対し市町村の権限を強めた。固定資産税の情報を利用した所有者の調査や、通達に従わない場合や所有者不明の際に強制的に空き家の撤去ができるようになるなど、各自治体の対策のスピード化が図られている。
平塚市でも2013年5月から「空地・空き家等の適正管理に関する調整会議」を設置。まちづくり政策課を中心に、消防本部や建築指導課などが情報を共有し、全市的な調査を含めた今後の対策の方針づくりを進めてきた。政策課では「まずは特別措置法に則り市内の調査と共に空き家対策に関するガイドライン作成を進めたい。若手職員を中心にワーキングチームを設け空き家の研究を進める動きもある」としている。
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