神奈川県と静岡県の県境に位置する火山体「箱根山」。相次ぐ火山性地震が観測され、今月6日には噴火警戒レベルが2へ引き上げられるなど、その動向に注目が集まっている。地質学的な見地から箱根山と平塚市の関係を調査している平塚市博物館に話を聞いた。
平塚市の地形は大まかに分け、東側の「相模平野」と西側の「西部丘陵」から成り立つ。西部丘陵は通称で、大磯町、二宮町、中井町を中心に、秦野市、小田原市などの一部を含む大磯丘陵の西側部分を指している。
この大磯丘陵の地層の70%を占めるのが、箱根火山の火山灰だ。
箱根山は約40万年前に活動を開始した。地質学的な調査では、大磯丘陵は約40万年前から6万年前にかけ、繰り返し発生した箱根山の火山活動により積もった火山灰で大部分が形作られたという。
大磯丘陵における箱根火山灰の地層は20mほど掘り下げると確認することができ、市内では土屋、根坂間などで、特徴的な黄色・白・黒と縞模様状になった地層が見られるという。
「歴史的資料には、箱根の噴火による平塚への被害は記録されていません」と同館学芸員。最も近年に発生した箱根山の噴火で、平塚に火山灰などの影響があったものは、約3100年前の通称「神山山崩れ」と呼ばれる縄文時代の噴火とされる。
「噴火による平塚の地形への影響はない」
同館学芸員によると、現在箱根山で起きていると推測されるのは、神山山崩れと同じ水蒸気爆発と呼ばれる種類の噴火だ。神山山崩れの影響で早川がせき止められ、現在の芦ノ湖を形作ったという。噴火などの影響で土に埋まり化石状態となった木を「神代杉」と総称するが、同館の駐車場には神山山崩れによるとされる神代杉が展示されている。
現在の箱根山の火山活動について同館は「実際大規模の噴火があるかどうかは別として、もし噴火したとしても、現在は200m級の山が周囲にあるため、かつてのように平塚の地形が変わることはないだろう」と推測する。また「地質からは歴史資料では遡れない歴史が分かる。地域の事を知る大切な切り口の一つとして、興味を持ってもらえれば」と話した。
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