グループ就労で適材適所に派遣
平塚市を中心にスーパーマーケット11店舗を展開する(株)しまむら(島村孝征社長)が、「独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構」から、障害者雇用優良事業所として、9月2日に表彰された。同社は2010年から社会福祉法人進和学園と連携し施設外就労の取り組みを続けている。
進和学園は知的障害者らに就労機会を提供する福祉施設を運営している。大手自動車メーカーの自動車部品の製造を請け負っていたが、リーマンショック以降、受注が7割減り、利用者の工賃拡大などのため、事業の多角化が求められていた。植樹用の苗の育成や、農業といった事業に取り組んでいる。
しまむらとの連携もそのひとつ。民間企業が福祉施設の利用者を労働力として活用するユニークな事例だ。2012年11月に、施設外就労として青果の袋詰めなどを担当し、継続的な派遣を開始。現在では、利用者4〜5人と職員1人がひとつのチームとなり店舗に派遣され、袋詰めの他に、草むしりや窓拭き、トイレ掃除など、施設側が「できること」を積極的にしまむら側に提案し、活動の場を広げている。
今回の表彰で評価されたのは障害者が施設を利用しながら社会に出て働けるということ。成長の速度や障害の重さなど、それぞれ抱えている症状が違う中で、施設の外に出て働くのは決して簡単ではないという。
黄色いユニフォームに身を包み、作業に没頭する利用者たちに「いつも綺麗にしてくれてありがとう」と声をかける客も多い。同店で窓拭きの作業をしていた加藤泰貴さんは「お金をもらっている仕事だから、やりがいを感じるし、ほめられると嬉しい」と窓を拭く手に力を込める。
同学園の就労支援施設「しんわルネッサンス」の出縄輝美さんは、「一般的に社会に出て働いている障害者はとても優秀な人たちで、氷山の一角に過ぎない」と話す。グループ就労として職員が引率することで、雇用現場での細かな調整が可能となり、利用者の個性や、得意分野、体調に合わせた派遣を実現した。雇用側も利用者も、安心して仕事に向かうことができているという。「寛容に受け入れつつも、戦力として使ってもらえるのはありがたい」と出縄さん。社会に触れる喜びを感じている様子の利用者を前に、笑顔を見せた。
しまむらストアー長持店の大友康弘店長は「進和学園の皆さんは、かゆいところに手が届くような存在。逆に気づかされることも多い。社員やパートさんの仕事時間も確保できるので助かっているし、みんなが来るのが楽しみなくらい。これからも末永くお願いしたい」と今後の活躍にも期待している。
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