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平塚・大磯・二宮・中井 文化

公開日:2015.09.25

大きな壁に夢を描く
平塚出身の画家・小野さん

  • 秦野の飲食店内に設置された作品を見つめる小野さん

  • 文京区の現場で建物の外壁を塗る様子

 生きいきと波を打つ鮮やかな植物が一面に描かれた壁画―――。作者は平塚市上平塚出身のペインター・小野留依聖(ルイーゼ)さん(25)。店舗の壁画や企業プロモーションを手掛けるほか、国内外の野外フェスや芸術祭などでライブペイントを披露している。8月にはディズニー系列のBSチャンネルDlife(ディーライフ)のバラエティ番組「ラジオな2人」で芸人・ピースと共演するなど注目を集めている。

 画材は主に色鮮やかな看板用のアクリル絵の具やペンキ。作風は、壁にスプレーやペンキで文字やイラストを描くグラフィティアートやヒップホップなど、1960年代にNYで生まれたストリートカルチャーに影響を受けている。流動的なデザインは海の波のイメージから。子どもの頃から地元の海岸で友達と遊ぶことが多く、今も伊豆でサーフィンを嗜む「海好き」だ。

 グラフィティアートを好きになったきっかけは、高校の行き帰りに通った上平塚のトンネルの壁画。平塚出身のアートクルーが市の依頼を受けて描いたもので、その迫力に魅了されたという。「かっこいいシーンで、こういうものを描ける絵描きになりたい」。大学で造形表現を学ぶ途中、ストリートアーティストとして活動の場を見つけ、ペインターの世界に足を踏み入れた。

現場に通い描き上げる

 最近では、音楽ライブ等を行う秦野駅前の飲食店の壁に飾られる絵や、東京都文京区にある3階建ての住宅の外壁を手掛けた。これらの作品では、より立体感を出すことに挑戦。外壁はもちろん、キャンバスの作品でも現地へ通って描き上げることが多く、秦野の作品は店内で作業を進めた。「地域の空気感や関わりを反映できるから、描きに行くのが好き」と微笑む。

 文京区の現場は小中学校と隣接しており、通りがかった子どもたちと頻繁に言葉を交わした。「毎日子どもたちが目にすることになる作品なので、この絵で夢を与えられたら」。平塚の街中でストリートアートに出会った頃の自身と重なるものがあり、完成が近づくと涙が滲んだ。

 今の目標は、2020年の東京オリンピックに向けたアートプロジェクトに参加すること。そのために英語でのコミュニケーション力を上げたいと、2016年は約1年間、ワーキングホリデーに挑戦する予定だ。場所は、自身のルーツである「海」を意識し、オーストラリアに決めた。

 ルイーゼという名前は、早くに他界した母が「海外でも通じやすいように」と付けてくれた。「小さい頃から大きなことを成し遂げたいという気持ちがあった。短い人生、今できることを一生懸命やりたい」。情熱的な瞳が強く輝いていた。

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