平塚・大磯・二宮・中井 文化
公開日:2016.12.01
日本の心 弓道で学ぶ
市内初 外国人で初段合格
職場だけでなく、地域の人と関わり日本を体感したい――。市内長瀞で工業用の化学製品を製造している日本シーカ平塚事業所の統括生産本部長、ウルリッヒ・ウォルフさん(47)が10月に行われた弓道の段審査で初段に合格した。平塚市弓道協会によると、外国人での初段取得は市内で初とみられる。
取引先や弓道仲間からも「ウリさん」の愛称で親しまれているウォルフさんは、スイスに住まいを持つドイツ人。妻と娘、息子を残し、2年半前から市内に単身赴任中だ。「スイスは内陸国なので、海があるのが嬉しい」と話すが、「たまに山が恋しくなることも」とぽつり。「スイスでは標高3千メートルほどの山に囲まれていたので平塚から見えるのは丘みたいなものです」と茶目っ気たっぷりに笑う。
これまでも各国に出張はしてきたが長期滞在は初。「日本文化を感じられることに挑戦したい」と、市弓道協会の会員でもあった社員に薦められ、今年の春に同協会に入会した。
ウォルフさんが目指すのは、競技として矢を的に中てることだけでなく、武道として弓を射る技術や、作法の品位、風格など美しさを表現することだ。日本語もおぼつかない状態だったが、協会には英語を話せる会員もおり、ウォルフさんをサポートした。193cmの長身に合う袴がなかなか見つからず、少しだけ裾が短いのもご愛嬌。「素晴らしい先生や、会員の皆さんがいなければ続けられなかった。やればやるほど奥が深く、帰国したとしても、生涯続けていきたい」と初段合格を喜ぶ。
「味噌汁は昆布とかつお節で出汁をとったものでないと」「スイスでは電車の中で電話しているのをよく見かけるけど、今帰国したら顔をしかめてしまいそう」とウォルフさん。日本の文化やマナーは、日々身体に染み込んでいる。
身長に合わせた袴もオーダーし、堂々とした構えにも磨きがかかるが、「正座は今でもとても大変です」と苦笑い。ウォルフさんの平塚生活はまだまだ続く。
内陸国スイスから海のある街、平塚へ
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