市内の写真愛好家、箭原(やはら)繁雄さん(80)=撫子原在住=がこのほど、『月のある風景の撮り方』(誠文堂新光社)を上梓した。箭原さんは10年前から、市内外で月をモチーフにした写真を撮り続けている。
著書には、月のある風景を撮るのに適したロケーションをはじめ、月の満ち欠けや方角、高度の算出法など、経験から蓄積した撮影ノウハウを収めた。
北海道で過ごした少年時代、月明かりを頼りに家の農作業を手伝っていたという箭原さん。「家に帰る道すがら『月の砂漠』の王子様を自分に重ねていた」と笑う。10年前に家の窓から月夜の空を見上げ、懐かしい感慨が湧いたのが撮影を始めるきっかけになった。
高校時代に叔父のカメラを借りて基礎技術を身につけたというが、月の撮影は今も試行錯誤の連続だ。
日常生活の中で目にする景色の上空に、満月や三日月をイメージ。理想的な構図が見つかれば、月の満ち欠けや方角を算出し、遮蔽物に邪魔されないアングルを探して狙う。日の入り後や日の出前の空が青く染まる「ブルーモーメント」が、月と風景が両立して際立つ絶好のタイミングだ。
駅前の梅屋のネオンの真上、マンションの脇に低く浮かぶ満月を収めた一枚=写真=は、自身初の会心作。月と建物の大きさをそろえるため、2Km離れた貨物駅付近から撮影した。満月のたび、場所を変えながらようやく切り取った一枚だ。
東京駅の真上にある部分月食を収めた一枚も思い入れの深い作品。600m離れた皇居前から狙った。「この構図がまた撮れるのを計算すると、54年後。3本の道路に挟まれていましたが、信号で車が通らない一瞬に恵まれた」と胸を張る。
知人から撮り方を教えて欲しいと乞われる機会が意外にも多く、4年前から書籍にしようと資料を書き溜めた。「難しいことはないので、参考にしながら気軽に月をお撮りになって欲しい」と話している。
市内のサクラ書店ラスカ平塚店やマイブックス平塚で扱っている他、ネット通販のアマゾンやセブンネットなどでも販売している。定価1500円(税別)。
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