初夏の訪れを告げるアユ釣りが6月1日、市内で解禁された。10年ほど前から金目川を遡上するアユの調査をしている金目川水系流域ネットワーク代表の柳川三郎さん(77)は、「アユがいるということは川が綺麗な証拠。これからも守っていきたい」と目を細める。
エサ豊富な「暴れ川」湧水など好条件
金目川のアユは4月半ば、川の水温が海と同じ17℃前後になると相模湾から群れをつくり遡上を始める。柳川さんは「金目川では、成長のいいアユだと秋頃に体長24センチほどに育つ。スマートな体とヒダのある黄みがかったヒレが特徴」と天然アユの美しさを語る。
5月下旬には金旭中学校近くの飯島堰が田んぼの水入れで堰き止められてしまうが、それよりも前に通過し、さらに上流へと泳ぎ進む。
「暴れ川」の異名を持つ金目川では雨の多い夏場、鉄砲水などの増水が定期的に起こる。川底のゴミや淀みを押し流すため、日光が川底まで届き、石についた新鮮な藻はアユの格好のエサとなる。「9月になると、一雨ごとにアユは大きく育っていきます」と柳川さん。子孫を残すため、力を蓄える。
弘法橋(秦野市河原町交差点近く)までくると堰堤があるため先へ進むことができない。9月中旬頃、アユは再び河口付近へと引き返し、平塚大橋や高麗大橋近くで10月末〜11月初旬に産卵する。産卵後、母アユは死に、卵は2週間ほどで孵化して、冬の間を海で過ごす。
同ネットワークは7年ほど前に神奈川県と協同して金目川のアユの生態調査を実施した。それ以降毎年8月中旬の水温記録と水質調査、6月〜10月の投網による個体数調査を行っている。柳川さんは「アユにとって大切なのは水温だとアドバイスを受けた。20〜24℃が最適というが、近年は緩やかな上昇傾向にあり、昨年は平均30℃を記録しました」と危惧する。
金目川の中でもアユが多く見られるポイントが金目観音付近と座禅川(土屋)との合流地点だ。「金目観音近くは上流との高低差があり、絶えず安定した水量が流れ、桜並木による木陰もある。座禅川合流地点には水温が17℃前後の湧水があり、それらがアユにとって好都合なのでは」と柳川さん。「アユの命は短い。生態系を壊さない程度に釣りを楽しんでもらえれば」と話していた。
代官町から釣りに訪れた佐々木一雄さん(62)は、「まだ小さいけれど、今年もたくさんいますね」と釣果に顔をほころばしていた。金目川の解禁期間は6月1日〜10月14日、12月1日〜31日。
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