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平塚・大磯・二宮・中井 社会

公開日:2017.10.12

野菜と歩む 21歳の挑戦
上吉沢の「湘南サンファミリー農園」

  • 奥平昌斗さん(左)と里美さん

約1年で新規就農

 農家の高齢化や担い手不足が進むなか、市内上吉沢で今年4月、20代の若者が新規就農を果たした。「湘南サンファミリー農園」の園主、奥平昌斗さん(21)だ。姉の里美さん(31)と二人三脚で不慣れな作業に苦心しながらも、若者らしいアイデアを生かして農業に挑戦している。



 岩手県に住む母方のおじが農業を営み、子供の頃から農作業を手伝うことが好きだったという昌斗さんは「当時から将来は農家になろうと決めていました」と話す。2013年に平塚農業高校に進学し、園芸の基礎を習得。卒業後は群馬県の農業生産法人の門をたたき約1年間、露地やハウス栽培の方法を中心に研修を重ねた。



 上吉沢で「湘南小巻ファーム」を営む小巻秀任さんの存在も大きかったという。里美さんから紹介を受けて1年ほど修行を積み、微生物を活用した「酵素農法」を学んだ。「自分が農業をやるならこれだと確信しました」と、就農への手応えを感じた。



 恩師との出会いを機に昨年3月、藤沢市から家族で平塚へ移住。市の制度を利用して新規就農の資格を取得し、農業委員会から土地を借り受けた。そして今年4月、新規就農者としてデビュー。「こんなに早く就農できるとは思ってもいなかった」と昌斗さんは笑う。



 「毎回見慣れたものではなく、野菜には色々な種類があることを知ってほしかった」と昌斗さん。約30a(アール)の農園では、通常の野菜に加え、長細い形が特徴の「宿儺(すくな)カボチャ」や紫色のカブ「あやめ雪」など、市場では珍しい農産物も栽培。農薬や除草剤などを一切使用しない自然農法もこだわりの一つだ。「安心・安全でおいしい野菜を生産して食べてもらうことで、子供から大人まで健康になってほしい。それが私たち農園の目標です」



 農産物の販路も、若者らしいアイデアで開拓する。里美さんの勤務先だった移動式パン屋「ハローエレファン」(公所)と連携し、パン屋の利用者を中心に約80人の顧客へ野菜を配送。季節の野菜を詰め合わせた「おまかせセット」(1500円〜)が人気だという。また、湘南各地のイベントにも出店、自慢の野菜をpRしている。



 また販売時には「より美味しく食べてもらいたい」という里美さんの発案で、野菜を使った料理レシピを添える。その他、旬な野菜情報などを盛り込んだ「農園便り」も月1回発行し、地場農産物の魅力を発信中だ。



 就農から半年、ハクビシンによる鳥獣被害など”自然の洗礼”を受けたが、日々の成長を実感しているという昌斗さん。今後は70aまでほ場を拡大し、「つらくて大変」な農業のイメージを変えようとさまざまな企画を立案中だ。「毎日が失敗の連続だけど、自分の目指す農業が出来始めている。収穫体験などを通じて畑に来てもらう機会を作りながら、みなさんの食卓に美味しい野菜をお届けできれば」と話していた。



 11月12日には、太古の湯グリーンサウナ(錦町)で野菜販売会を行う。午後4時30分開始。購入・問い合わせは同農園【携帯電話】070・3883・0831【メール】syonan.sunfamily2017@gmail.comへ。

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