市内天沼の一軒家。明るいリビングには壁一面に絵本が並ぶ。その一冊を手にとり、「これ、なあに」と穏やかな声音で読み出すと、車座で今か今かと続きを待つ子供一人ひとりの目を見て、ゆっくりと続きを読み出す――。絵本講師の内田早苗さん(44)は自宅を開放して、絵本教室『きいろいおうち』を主宰。母親を対象に読み聞かせを子育てに活かす方法を伝えている。
自宅を開放し絵本カフェ
絵本講師は、子育てに役立つ読み聞かせを具体的に身につけ、社会に還元する人材をつくるため、 NPO法人「絵本で子育て」センターが2004年から推進している事業。絵本作家・梅田俊作氏なども賛同し、これまでに約1600人の絵本講師が誕生し、全国各地で講演活動などを行っている。
内田さん自身も子育てに悩んだ経験のある一人。30歳で第1子を出産した。「昔から子供が苦手なタイプ。どうしたらいい子育てができるのか」。夫は転勤族でまわりに頼れる人もおらず、手探りの毎日。そんな中で「絵本講師」という存在を知った。
子供の幼稚園入園を機に受講を決め、1年かけて絵本に関する専門的な知識を学び、絵本講師の資格を取得した。「子供とのコミュニケーションが深まった」と読み聞かせの力を子育ての中で実感したという。「私と同じように悩んでいる母親の助けになりたい」と11年に平塚市に移住したことをきっかけに、自宅を開放した教室『きいろいおうち』を開いた。
教室には自身で買い求めた絵本を中心に約1500冊を蔵書する。フルタイムで就労しているため、教室は月2回の開催と少ないが、「しつけや勉強になる本を教えてほしい」と噂を聞きつけた親子が毎回5組ほど訪ねてくるという。内田さんは「絵本に役割を求めるのではなく、まずは子供とのふれあいの時間にしてみては」と母親に提案する。
絵本にはいろいろな読み聞かせの手法があるが内田さんが推奨するのは「待ち読み」だ。「大げさな読み方でなくていい。ただ、子供の反応をじっとまってあげることが大切」。そうすると、子供は自由に想像を広げ楽しむことができるという。「読み聞かせは、他のことをしながら片手間にはできない。1分でもその時間だけは子供のことに集中する。その積み重ねが愛情を育ててくれる」と内田さん。母親たちは「我が子と向き合っていけそうな気がした」と肩の力を抜いて帰っていくという。
書店や自治体からの講演依頼も増えている。秋には祖父母向けの講座も企画中だ。内田さんは「読み聞かせの魅力を伝えていきたい」と話した。【URL】https://ameblo.jp/kyouryuushounen1459/
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