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平塚・大磯・二宮・中井 文化

公開日:2023.03.09

考えたいまちのこと
広がる「合理的配慮」
寺行事などで手話通訳導入

  • 帰山式の様子。右側に座っている二人が手話通訳者

 障害のある人が障害を理由に差別的な扱いを受けないよう努める「合理的配慮」の取り組みが市内でも広がっている。2月23日、南金目の日蓮宗法傳寺で修行から帰ってきたことを報告する「帰山式」が行われた際には、神奈川県聴覚障害者福祉センターから2人の手話通訳者が派遣され、修行の内容や所作の意味を同時通訳。聴覚障害のある参加者は「内容がよく分かり参加してよかった」「貴重な体験だった」と感想を寄せた。

 「帰山式」での手話通訳派遣は、主催者の法傳寺が同センターに依頼。足を運んだフラダンスイベントで手話通訳を見かけ、主催者側が通訳を依頼できると知ったのがきっかけだった。

法改正で義務化

 「合理的配慮」は2016年に施行された「障害者差別解消法」により、国や地方自治体のほか企業や商店、ボランティア団体などに対して求められる手話や筆談、点字等の対応のこと。現在、合理的配慮の提供は民間事業者の「努力義務」となっているが、21年5月に参議院本会議で可決された同法改正案で公布後3年以内の「義務化」が求められている。

 聴覚障害者本人からの依頼を想定している平塚市の手話通訳者の派遣は無料で受けられるが、派遣内容は、「医療、保健に関する内容」「子等の教育に関する内容」「就職に関する内容」などに限られるため、慰安や親睦を目的としたレジャーは含まれない。同センターによる手話通訳者や要約筆記者の派遣は、講演会やコンサートなど多岐にわたるが、企業やイベント主催者からの依頼を想定しており、有料派遣となる。

 趣味や文化活動の場は、医療などと違い命に関わることではないかもしれないが、豊かな暮らしを送る上で必要不可欠だ。地域の手話サークルに参加している同寺副住職夫妻は「障害を理由に文化に触れる機会が制限されないよう、主催者側として整えていきたい」と話していた。内閣府ではウェブ上で合理的配慮の事例を紹介したリーフレットを公開中。

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