板金加工業の「タシロ」(入野)が、独創的なアイデアを生かして斬新な商品を続々と開発している。3代目の若社長・田城功揮さん(31)は「町工場のイメージをかっこよくしたい」と、板金加工技術とものづくり精神を融合して「脱下請け」を目指す。
田城さんはサラリーマン経験などを経て、5年ほど前に同社に入社。これまでは自動車部品や精密板金加工などの下請けがメインだった家業の拡大に向け、ピザ窯や焚火台など一般消費者向けの製品を10種類以上開発してきた。
開発には社員全員が関わりながら、アイデアを出し合うのがタシロ流だ。「ただ依頼されたものを作るのではなく、自分でこんなものを作りたいというモチベーションを大事にしている」と田城さんはいう。
昨年9月に社長を引き継ぐと、その信念を加速させた。
4月に発売するステンレス製のカプセルトイマシンは、同社が長年培ってきた板金加工技術を生かし、100点に及ぶステンレスの部品を溶接して製作。高さ1・18メートル、重さ約35キロで、専用コインを入れてダイヤルを回すと中のカプセルを取り出せる。
製品のテーマには「共創」を掲げ、カプセルの中身は地域食材を使った加工品や、箱根の寄せ木細工などを想定している。「伝統工芸品など県内の他業種とコラボすることで、地域貢献につなげたい」と田城さん。市内の連携を追い風に、製品の可能性を追求したいという。
田城さんは、業界の垣根を越えたイベントで職業講話に協力したり、異業種交流事業「しごたのひらつか」を共同主催したりと、活動のフィールドを広げている。
根底にあるのは、製造業の持つ魅力を多くの人に伝えたいという思いだ。「子どもたちにも、自分でものづくりができる、楽しい、わくわくする工場があると知ってほしい」。町工場の枠を超えた挑戦を成長の原動力にし、ものづくりの世界に新風を吹き込む。
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