平塚・大磯・二宮・中井 人物風土記
公開日:2024.03.28
花の国づくり共励会花き技術・経営コンクールで農林水産大臣賞を受賞した
窪田 敬一さん
広川在住 73歳
園芸で暮らしに彩りを
○…花きの生産販売を行う五領ヶ台ガーデン(南金目)で、安定した生産経営の維持や雇用、環境への配慮などに取り組む。功績が評価され、花き技術・経営コンクールで県内初の農林水産大臣賞を受賞。「花を作り始めて50年近くの努力が認められてうれしい」と、心血を注いできた花き栽培分野での快挙に喜びもひとしおだ。
○…農園を持つ父のもとで、幼いころから花に囲まれて育った。平塚農業高校を卒業後、県の園芸試験場で1年間の研修を経て、当時花の生産量世界一といわれたオランダで2年間の研さんを積んだ。「近代的な施設や効率的な作業にショックを受けた」といい、帰国後は念願の温室を広川に建設。栽培面や経営面で「壁にぶち当たった」が、花大国オランダでの経験を糧に花き経営の腕を磨いた。
○…同社の代名詞となったユリの栽培・繁殖は、29歳の時に結婚した妻・鈴江さん(66)が担う。休日は夫婦で温泉旅行に出かけるなど羽を伸ばすこともあるが、「どうしても気になってしまって」と、公園の花や自身の育てた花を販売店に見に行くことも。「花は1日たりとも同じ顔をしない。その変化や表情を見ていると飽きることがなくて」と穏やかに笑う。
○…手塩にかけて育てた花を購入した人が喜ぶ表情や、納得いく花が育った時の達成感が原動力という。ガーデニング人気もあり、取引量は年々増加。今年4月からは海外へ種の輸出も予定している。会社は3月に次男が継いだが、「日本の食料自給率を上げるためには育てる種類も増やさないと」と、野菜の苗などの栽培にも注力。花き生産の枠を超えた取り組みを通して、暮らしを彩る園芸の魅力を多くの人に届けたいと願う。
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