2月8日から湘南平塚画廊で父親の作品を集めた展覧会を開催する 山本 和恵さん 大磯町国府本郷在住 79歳
雲を愛した父に思い馳せ
○...日本画家として活躍し、1992年に亡くなった父の作品20点以上を展示する「雲の画家 山本瑛幾(えいき) 回顧展」を2月8日から12日まで、湘南平塚画廊(平塚市明石町)で開催する。「父は"雲は自由に見えるから好き"と言っていつも空を見ていた」と懐かしむ。会場には、父娘の思い出が詰まった地元・大磯町の風景をはじめ、信州の山々など日本の自然を描いた作品を並べる。
○...父の実家の別荘があった大磯町国府本郷で育った。小学2年生の時に同町にある鴫立庵で毎年開催されていた絵画コンクールで2000人の中で一番の評価を受けた。応募したポスターコンクールには毎回入選するようになり、美大に進んだ。父と同じ日本画家となった。「物心ついた時から父が描くところを見ていた影響があるのかも」と振り返る。
○...父が自宅に花や果物の木を植えていたことから、植物を被写体として描くことが好きになった。将来の仕事を考えた時は「画家として生計を立てるのは難しい」と感じ教師を目指したが、体が弱いことを理由に父が反対。子ども向けの絵画教室を開き、毎週100人以上を指導したこともあった。「子どもたちの個性を大切にすることを心掛けた」と話す。
○...山本瑛幾氏の作品は、輪郭線を用いずひと筆で対象を一気に描き、陰影や立体感を表わす「付立(つけたて)風景画」。絵の具が乾く前に仕上げなければならないため、スピードが必要とされる。「父は電車に乗りながら車窓から見た景色を一瞬で描いていた。技術や観察力が試されるので誰もができるわけではない」と敬意を表す。「純粋で温かい人だった。その気持ちが作品にも表れている。展覧会では、父が大切にしていた"品"と色彩の魅力を感じてもらえたら」
>
|
|
|
|
|
|