それぞれの課題解消や目的の実現に向け、互いに学び、本音で意見を交わす――。県下の800を超える中小企業家が会員の、神奈川県中小企業家同友会の代表理事に就任した。小田原支部からの代表理事選出は初だ。
広告代理店系列の設備管理会社に勤めていた時、後輩がふと口にした「ノルマを追うことはいつまで続くのか」という問いに心が動き、起業を決意。20年前、訪問マッサージ業の有限会社エイチ・エス・エー(2004年株式会社へ変更)を立ち上げた。訪問介護業務や福祉タクシー、通所介護、有料老人ホームなど事業拡大とともに、3人だったスタッフはいまや300人を超える。「社会に必要とされる会社であるか」。創業当時から変わらぬ思いだ。
従業員が給与、キャリアを選択
田中さんの経営手法でユニークなのが「選択制民主主義制度」。毎年、従業員自身が目指すキャリア、労働対価、労働環境などを自己申告。面接等で必要に応じて修正はあるものの、従業員が主体的に「働き方」を決定するシステムだ。「現場が好きで昇格したくない人もいる。逆にキャリアアップを求める人には研修なども用意します」。社内では給与体系や経営情報なども公開、就業規則は従業員で何度も話し合いながら決める。近年叫ばれる「働き方改革」の先行事例として、講演依頼も多い。
中小企業同友会の活動のひとつに、まちの活性化に向けた条例制定がある。6月には就任のあいさつを兼ねて加藤憲一小田原市長を訪問し意見交換をした。「地域と企業がともに成長していく」。まちの未来を見据えて声を上げていく。